しにがみハート#5-1
「遊園地のチケット2枚ゲットしました!!」
休日の朝7時。自分の部屋に絢芽の声が鳴り響く。
「ん…!?何故絢芽がここに!?」
「お姉様に入っていいよ♪って言われました」
里紗姉め…。休日の朝からうるさいやつを家に入れやがって…。
「ね〜ね〜、孝紀さん〜」
完璧上目使いおねだりモードの絢芽。
「遊園地に行きましょう♪ってか?」
「その通りです!!」
どうせ断ることも無理だろうし、チケット無料だし…良いか!
「よし、行くか!」
「よっしゃぁぁぁぁぁ!!」
よっぽど嬉しいのか背中の鎌を振り回す絢芽。
「危ねぇだろぉぉぉがぁぁぁ!!」
「だってぇ♪嬉しいですもーん♪」
「あと5秒振り回したら連れて行かない!」
「なっ!?」
大人しく鎌を背中にしまい込む絢芽。
「で、何日?」
「今日です」
「……」
「……?」
暫く沈黙。
「絢芽は…、準備してきたのか?」
「もちろんです!!」
俺が買ってあげた服に、自分で買ったのか知らないが白い帽子を被っている。あとほのかに香水の香りがする。
「開園時間は?」
「ん〜と?9時半ですね」
電車に乗って目的地まで2時間…
!!あと30分!?
「絢芽!!リビングで待っとけ!!」
「はーい♪」
俺は急いで仕度を始める。
着慣れたTシャツにジーパンを身につけ、タオルとかティッシュとか財布などをバッグに詰め込む。
その次に顔を速攻で洗い、ワックスで髪をセットする。
時間的には30分あるが、駅まで歩いて15分掛かるから実際は15分しか余裕がない。
せっかくの遊園地。やるなら開園時間から閉園時間まで遊び尽くさねば!
「準備・完・了!!」
「孝紀さん早いですね!!」
「これも絢芽への愛だぁ」
「孝紀さん頭おかしくなりましたね…そんな臭いセリフ吐くなんて…、ま、とりあえずレッツゴー!」
目的地への切符を買い、二人で電車に乗り込む。都合がよく電車のなかは空いていて、ある程度余裕がある。
「ゆうえんちぃ〜♪ゆっうっえっんち〜♪」
窓を開け超はしゃいでいる絢芽。