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しにがみハート
【コメディ 恋愛小説】

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しにがみハート#5-2

「絢芽!危ないから座ってな!」
「孝紀さんのおごり〜遊園地〜♪」
「…マジ?」
「激マジ〜♪」

いや分かっているさ!!覚悟はしていたさ!!絢芽のことだし。どうせおごるんだよ…。

「孝紀さんジェットコースターってなんですか!?」
「…あ。」

そういや死神がジェットコースターとか知らないか…。

「なんか速い乗り物に乗って、物凄い速さでレールの上を走るやつ」
「じゃあお化け屋敷は?」
「お化けがいっぱい出て来て、客を驚かす、って感じかな」
「死神より怖いですかね?」
「たぶん絢芽のほうが怖いね…」
「失礼なっ!!」
「事実だっ!!」
「よーし、お化けに反撃食らわします!!」
「いいか!?絶対そんなことするな!!」


そんな他愛もない会話をしていると、目的地の遊園地に到着した。
最近開園した遊園地、キャロルランド。絶叫マシーンはもちろん、ホテルやレストランまである。なんでも楽しめ、充実した時間をっていうキャッチフレーズで運営している。

「ひ、人がたくさん…デス…」
「まぁ、遊園地だしな」
「は、はぐれるのイヤなんで…」

そういって体を寄せてくる絢芽。っていうか、半分抱き着いてるのが気になる…

「絢芽ってさぁ」
「はい?」
「人ごみ苦手だろ?」
「いえいえいえいえ!!」

いつもと明らかに様子が違う絢芽に、俺はある一つの作戦を思いついた。
ふっふっふ。これはせめてもの反撃ってことで…。

「あやめ〜?」
「何ですか?」
「えぃ♪」
「きゃッ!?」

絢芽の体をちょっと押す。
俺から離れ、人ごみのなかに入ってしまった絢芽はどうするのか!?


「ちょ…ちょっと孝紀さん!!」
「ここまでこい絢芽!!」
「む…無理…孝紀さんが来て下さいよぉ…」
「大丈夫だろ5メートルくらい。」
「大丈夫じゃないから言ってるのに…うぅ…」
「頑張れ絢芽!!」
「うぅ…酷いですよぉ…あとで絶対グレムリン食べさせてやる…!」

そう言って一歩一歩踏み出す絢芽。完全に腰が抜けて老人みたいになっている。


あと3歩。
あと2歩。
あと1歩…!

「よく出来ました絢芽♪………ぐふぅッ!?」
お腹に絢芽の渾身のパンチが決まる。
息ができん…。

「……」

俺の胸に顔を埋め、何も喋らない絢芽。
反撃のつもりでやったのに…なぜか罪悪感が…


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