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こいびとは小学2年生
【ロリ 官能小説】

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島唄-1


 737-800がファイナルアプローチに入る。機体がぐぅーん、とさらに高度を下げると、30K、客席最後尾右側の窓から宮古島北端の西の浜やそのさらに北側に浮かぶ池間島が見えてきた。宮古島の西側にある伊良部島そして下地島が窓越しに大きくなり、やがて真下に平良地区の住宅街が広がってくる。
 あの街並みのどこかに、しのちゃんとさおりさんが暮らす窓がある。
 ランウェイ22へのタッチダウンの震動を感じ、エンジンの逆噴射音そして柚希ちゃんの機内アナウンスが続く。宮古島空港には平行誘導路がないので、737-800はいったん滑走路の先端まで行き、そこでターニングパッドと呼ばれるエリアを使ってUターンする。スポットに入り、柚希ちゃんがL1ドアを開くと今日も少ない乗客 ―とほほ― が慌ただしく降機していく。いちばん後ろの座席に座っていた俺は、他の乗客が全員L1ドアを出てから立ち上がり、左右の座席に忘れ物がないか、ひどい汚れがないか、をチェックしながら前方へと歩いた。
 L1ドアのそばに柚希ちゃんが立っている。俺を見てにっこりと笑った。

「せんぱい、宮古島は初めてですよね、ようこそいらっしゃいました」

 おどけてぺこ、と頭を下げた柚希ちゃんがぱ、と頭を上げてまた笑う。その笑顔とともに柚希ちゃんが漏らした吐息がかすかに空気を揺らした。ああ、もうちょっと柚希ちゃんに近づいてから立ち止まればよかった。

「はじめまして、お邪魔します」

 俺のつまらんかぶせに笑ってくれた柚希ちゃんの吐息のタイミングに合わせて鼻から呼吸する。ううん、さすがにフライト中はタブレットあたりで匂い対策してるか。

「しのちゃんとさおりさんに会うのも久しぶりですよね、お二人、すごく楽しみにしていると思いますよ」

 邪気のない柚希ちゃんの言葉が少しだけ胸を刺す。
 急で申し訳ないのですが可能であれば明日から三日間有給をいただけませんか。そう切り出すと、支店長はさすがに困惑した表情になった。お願いします。私用で恐縮ですが、どうしても解決しなくちゃいけない問題があるんです、支店長にしかお話できないことですけれども。そう迫った俺に午前中いっぱい時間をくれ、と言った支店長から、調整がついた、決裁するからいますぐ申請書を上げて、と返事があったのは昼食を展望デッキで食っている途中だった。まあ、プライベートのことだから細かい事情は聞かないけれど、無事解決できるといいな。わざわざ展望デッキまで上がってきて、そう言ってちょっと笑った支店長に、俺は今までお客にすら下げたこともないような深い角度でお辞儀をしていた。

「三人で、たくさん楽しんでくださいね」

 柚希ちゃんの笑顔に見送られてPBB(パッセンジャーボディングブリッジ)を到着ロビーへ向けて歩き出す。夕方の宮古島空港、窓越しに見える空や植物、それにすでに過半数が半袖の空港職員の姿が、外気温が高いことを示唆している。
 荷物を受け取り、宮古島空港支店へあいさつに行こうかと一瞬思って思いとどまる。プライベートの有給で来ているのだし、こういうときにどういうふうにあいさつするのが社会人として自然なのかコミュ障の俺にはよくわからないってのもある。
 空港ビルを出る。想像どおり気温が高かった。乗り込んだタクシーのエアコンが心地いい。タクシー、どっかで見たような色合いだったけれども運転手さんに聞いたら本土から中古タクシーを運んできて塗り替えずにそのまま登録して使ってるのだそうだ。おおらかでいいな。
 さおりさんのお店はタクシー運転手さんの間でも知られているようで、店名を告げるとはいはい、と連れて行ってくれた。空港から北に向かい、県道から西に入り住宅地っぽいエリアに入ったコンビニの前でタクシーは止まった。料金を払ってタクシーを降りると、コンビニの隣の白い壁にアメリカンな書体で店名が書かれたお店の大きなガラス戸が開いて、さおりさんが笑顔で手を振りながら出てきた。

「お兄ちゃんいらっしゃい、お久しぶり」

「は、はい、お久しぶりです」

「ごめんね空港に迎えに行けなくて、この時間どうしても仕込みとかあって、今日は開店までは私ひとりだから…」

「いえいえ、こちらこそ泊めていただいたりして…」

 有給が取れました、明日の便で行きます。そう電話で伝えると、俺からの着信時にはちょっと緊張した声色だったさおりさんが、きゃー、よかったー、と子供みたいな嬌声を上げた。その、きゃー、という声や抑揚がどことなくしのちゃんに似ていることに気づくくらいには俺の精神状態は平静を取り戻していた。

「でもね、じつはしの、まだ機嫌が悪いの」


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