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こいびとは小学2年生
【ロリ 官能小説】

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島唄-2


 宿決めた?決めてない?じゃあよかったらうちに泊まったら?オーナーさんが手配してくれた新居、私としのふたりには贅沢すぎるくらい広いんだ、お兄ちゃんの寝る場所あるから、遠慮しないで、ね。そう朗らかに言って俺の勃起中枢を刺激しかけたさおりさんが、ちょっとだけ声のトーンを落としてそう続けた。

「あ、じゃあ、しのちゃんには俺が行くこと、言わないでいてもらえますか?」

「え?」

「や、なんというか、サプライズ、で」

 サプライズは本当はあんまり好きじゃない。でも、しのちゃんに対するけじめとして、俺をもう一度受け入れてくれるかどうかは自分自身で確かめたかった。「お兄ちゃん明日宮古に来るって」と聞かされて「ふーん、でも来なくていいよ。あたしもう、お兄ちゃんのこと嫌いだもん」と返事した、なんて聞かされたら俺の決意が脆く崩れそうな気がした、ってのもある。

「しの、今日は学活でまだ帰ってきてないの」

 さおりさんが某夢の国のキャストのような、ちょっと芝居がかった仕草でお店の入口を腕で指し示す。

「しのが帰る時間になるまで、涼しい店内でおくつろぎくださいませ。大丈夫よ私しか今いないから」

 さおりさんに案内された店内は、ビデオ通話やさおりさんが送ってくれた画像で見たとおり外見と同じようにどことなくアメリカンダイナーっぽく、それでいて色使いはシックで、親しみやすさと高級感がうまく共存しているインテリアだった。エアコンの風に額の汗が引きかけると、さおりさんがテーブルに氷のぶつかる音が涼し気な飲み物を運んでくる。

「宮古の乳酸菌飲料でね、『元気の子』っていうの。しののお気に入りなんだよ。お店でも出してる」

 いただきます。よく冷えた乳白色の元気の子を、ついついグラス半分一気に喉に送る。あっさり、さっぱりしていて、それでいて乳酸菌飲料独特の甘さとコクが久しぶりの長旅と暑さでちょっと疲れた身体に心地いい。

「夕ご飯、しのと一緒にお店で食べてね。私、腕によりをかけておいしいディナー、作っちゃう」

 おどけたように笑うさおりさんの柔らかく温かな息臭が懐かしい。軽く反応するおちんちんをたしなめる。まて、宮古島で最初に勃起するなら、相手は絶対にしのちゃんだ。その意味では、柚希ちゃんが口腔ケアしていたのは僥倖だったな。まあ、くだらない願掛けかもしれないけどしのちゃんに会うまで劣情を抑えきることができたら、しのちゃんとまた以前のように、何事もなかったかのようにやりなおせるんじゃないか、と思っているのは事実だ。
 とは言え。

「ありがとうございます。それでしのちゃん、相変わらず……」

「うん」

 眉をひそめてさおりさんがうなずいた。

「お兄ちゃんが昨日そう言ったから、しのには何も伝えていないの。で、ゆうべも今朝も、お兄ちゃんのことはしのはなんにも言わない」

 ふう、とさおりさんが漏らすため息が、テーブルの上にセットされた紙ナプキンの隅を軽くそよがせる。

「怡君ちゃんから連絡もらってね」

「あ、あ、はい、その、怡君さんたちにもすごく迷惑をかけてしまって」

「ふふ。お兄ちゃん、すごく酔っ払って、子供みたいに泣いてた、って言ってたよ」

 赤面が胸筋くらいまで走る。

「怡君ちゃんのだんなさんが言ってたんだけれど、しのはお兄ちゃんと会えない寂しさが高まって、こんな寂しい思いをするくらいならお兄ちゃんなんかいっそいないほうがいい、と考える自己防御に入っているんじゃないか、だからお兄ちゃんとひと目でも会えれば解決するんじゃないか、って」

 有給が取れたので宮古島へ行ってきます、とメッセージアプリで怡君さんに報告すると、1分と経たないうちに音声通話がかかってきた。ほんとう?すごいねお兄ちゃん、さすがしのちゃんの彼氏だよ、うわあ、私ものすごく嬉しい。やっぱり二人を応援しててよかった。怡君さんにしてはややハイテンションなその言葉と口調に、空港駅ホームで電車を待ちながら気持ちがかなり高揚した。

「しのは今日は学活で……」

 さおりさんが壁にかかったコーラルリーフカラーの時計を振り返った。

「あと三十分くらいで下校かな。どうしよう、たぶん直接ここに来ると思うけど」

「小学校ってどっち側ですか?」

 さおりさんが店の北側、キッチンがある方角を指で示した。

「俺、その道でしのちゃんを待ちます」


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