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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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西日の当たる部屋-2

 「どのあたりをお考えなんですか?」
 「気になりますよね。お家の目と鼻の先だったりしてはいけませんしね」

 温厚だけでなく察しもよいのが好きなところでもある。

 「学生以来なんでね。もう土地勘は薄れてしまいましたが…。業界紙の会社は○○線の△△駅なのでその沿線が楽でいいかなと思っているのですが」

 ○○線なら生活圏を通っていないし、ほどよい距離感も保てそうだ。

 「いいですね、○○線」
 「お近くになり過ぎずに済みそうですか? ああ、それなら、もしよろしければ家探しにお付き合いいただいたりできませんか?」
 「いえそれは…。わたしなんかがご一緒してはお邪魔でしょう…。奥様とお探しになったりはされないのですか?」
 「家内が付き合ってくれることはないですね」

 お相手は苦笑いして否定する。

 「これはボクの独り相撲に過ぎないのですが、ボクは貴女とセックスするときは、自分の妻とセックスしているつもりでいるんですよ。妻としての女性を愛したいという気持ちで」 自分は男性と夫をイメージしてセックスすることなどなかったから意外な感じがした。むしろ妻以外の女性と性行為することに興奮を覚えるものだとばかり思っていたから…。

 「貴女とはいつもこうしてホテルでお逢いするだけで、ホテルを出てしまえばアカの他人の素振りですぐに別れてしまうじゃないですか。前々から一度夫婦みたいに一緒に歩いたりしたいと思っていたものですから。…まあ、ワガママもいいところですよね」

 ぐいぐい押してくるところが一切ないだけに、早々に引かれるとかえってこちらも気になってしまう。〇〇線の沿線なら大丈夫かしら…。

 「…いいですよ。わたしなんかでよろしければ…」
 「本当ですか? …ありがとう」

 お相手の顔が歓喜の表情に変わり、唇を重ねてきた。お相手のモノも一気に漲ったようだ…。

 「貴女が気に入った部屋を借りますよ。何度でも訪ねてきていただけるような部屋を…」

 夫以外の男性の部屋を訪ねるわたし…。訪ねる目的は夫以外の男性とのセックス…。お相手はわたしは国元から夫の様子を心配して訪ねてきた妻としてイメージするのだろうか。こんな『同床異夢』があるとは思わなかった。

 翌月、わたしはお相手と一緒に不動産屋を訪ねた。あたかも男の妻であるかのように。部屋の間取りは最小限でいいし、むしろ大事なのは出入りが人目に付きにくいところ…ぐらいだろうか。

 「静かなところがいい…わね」
 「そう…だね」

 事前に打ち合わせをした訳でもなかったが夫婦を装うことを意識して語尾だけ変えて会話…。物件を2つ見て、2つ目に見た物件に決めた。駐車場も要らないので路地の奥に建つアパート。中に入ると西日がさし込んでいて部屋の畳の香りがこもっている。

 「カーテンをつけないといけ…ないわね」
 「そう…だね。色は何がいい…かな」

 不動産屋の主人も商談成立も間近との手ごたえを感じているようだ。

 『この辺は静かですよ。今は上の部屋も空いていますけどね。ご主人のお一人暮らしということでしたら1階でもよろしいかと』
 「そうですね。2階だと物音に気を遣うからね」

 お相手がいたずらっぽく笑ってわたしを見る。騎乗位も心置きなく愉しめそうだ。


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