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人妻奈岐
【熟女/人妻 官能小説】

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揺れる奈岐-1

 次の週末も奈岐は亮とのチャットを愉しんだ。心も身体も奥の奥まで楽しめた。これでいいんだわ、りょうさんと一緒に楽しく過ごせる、性の喜びも共に出来る、これ以上のパートナーはいない、そう心から思えた。
 いつものようにピロートークを重ねていた。全てを画面にさらけ出してお互いの身体を知った者同士、遠慮は無かった。ふとそのときだった。奈岐のこころにこのひとと一緒に過ごしたい、肌を直接触れ合いたい、このひとの硬く大きくなった熱いものを自分の中に受け入れたい、それは身体の奥の奥から湧いて出て来る叫びのようなものだった。そしてそれは女の本能のようなものだった。
 奈岐は亮と話しながら、その溢れて来る想いに必死で抗っていた。亮にもそういう思いが画面を通して伝わってきていたのかもしれない。亮はこのところいつものことになっている、リアルデートのお誘いをいつものように落ち着いて伝えた。
「なぎちゃん、もうそろそろリアルに逢うこと、承知してくれていいんじゃない?ぼくたち、ホントに好き同士で、逢って直接触れ合いたい、なぎちゃんと思いを確かめ合いたいんだ、ぼく、ね、いいだろ?」
 もう奈岐は喉のところまで亮の提案を受け入れる言葉が出ていた。しかし、一分の躊躇いが亮への愛情を押さえつけ、思いとは反対の言葉となって迸り出てしまった。
「ダメ!だめよ、りょうさん、わたしたち、ここでだけのお付き合いにしましょ、わたし何回も言われるのイヤ、わたしそういうのダメなの!!」
 それは素直な愛情を押さえつけた言葉だったせいで、かなり強い拒絶の勢いを伴なっていた。こんな強い言葉を亮に対して使ったことがない、はじめてのことだった。
 亮は一瞬たじろいだが、気を取り直して、
「なぎちゃん、ごめんね、そんなに怒らないで、ほんとにごめん」
 奈岐は誤られて自分が強い口調を使っていたことを自覚した。すまないことだった。
「わたしこそ、ごめんなさい、強い言葉で言っちゃって、、、、」
 奈岐は思いと裏腹に言ってしまった言葉にとらわれていた。
「りょうさん、ごめんなさい、でもわたしダメなの、、、どうしても」
「わかった、なぎちゃん、ごめんね。ぼくはなぎちゃんが好きなだけなんだ。とっても好きなんだよ。それだけはわかってください。お願いします。」
「うん、わかってる、りょうさんのことはわかってるよ、わたしこそ怒ってしまってごめんなさい」
 
 奈岐は、なぜあんな強い言葉で言ってしまったのだろう、思っていたことと反対のことを。自分でも不思議な気がしていた。直前までは直接逢って近くで話をし、手をつなぎ、肌をふれあい、そしてたっぷり時間をかけて愛し合おうと思っていたのに。心からそう思っていたのに。
後悔していた、でもまだ迷っていた。睦夫との浮気は、こちらから抜け出すことができないほど巧みに導かれた末のことだった。だから止むを得ないと自分を納得させることが出来た。そして実際、踏ん切りがつき、心から気持ち良く逢瀬を愉しむことができた。でも今回は自分から踏ん切りをつけないといけないのだ、自分から。
自分から踏ん切りをつけるというのは、啓介への裏切りになるということでもある。奈岐は自分にそんなことができるだろうか、啓介には愛されてきた、そしてもちろん今自分も啓介を愛している。その気持ちに変わりがあるわけではない。でも身体と心は満ち足りていない、そしてこれからも満ち足りることは期待できなかった。そのことに違いは無かった。
心も身体も満ち足りていないから、夫以外のよそに男性を求めていいのだろうか?
啓介とは結婚して十七年になる。最初の十年は心も身体も十分にといっていいほど満ち足りた結婚生活だった。ただ啓介は奈岐の中に自分の精を注ぎ込むことは一度としてなかった。今日は安全日だということは何度も、啓介に囁いて悟らせたことはあった。それでも決して、奈岐が最後の瞬間にエロスの限りの声で請うても、啓介がその精を奈岐にほとばしらせ、奈岐の一番大事なところへ注いでくれたことは無かった。直接真剣に子どものことを話し合ったこともなかった。奈岐がその話をしようと話しかけても、話がまとまったことは無かった。もし、啓介が奈岐の中へ愛情込めて注いでくれたら、奈岐は心から妊娠したいと思ったに違いない。
子どもができていたら、奈岐のそういうこころと身体の満ち足りなさというものは違ったものだったのかもしれない。奈岐は改めて真剣に子どものことを考えてみたことがない。それは啓介が考えてこなかったので自分だけが考えても、ということがあった。だから今も本当に自分は子どもがほしいのか、あるいはほしくないのか、わからなかった。ただ、自分の中に男の精子を思いっきり注ぎ込まれたい、という思いが、いますごく強くなっていることを感じている。だから、かつての睦夫との情事でそれとなく安全日であることを告げて奈岐の中へ射精を促そうとしたことがあったし、現在チャットというイメージ空間ではあるが亮との恋愛とセックスを満喫しながら最後は亮の精子を自分の中に注ぎ込んでほしいといつも伝えてきた。それは女としての本能なのだろうと思った。
この先、十年もすれば間違いなく更年期と言われる季節が女にはやってくる。四十になった奈岐には最近、つくづくそのことの現実をまざまざと感じることが多くなった。身体は確実に衰えて来ている。張りのあった乳房もいつのまにか二十代のピチピチではなく、肌もあの頃の瑞々しさが失われてきていた。そのことを思うと居ても立っても居られない気持ちになることがある。ただ、まだ間に合う、睦夫が奈岐を恋焦がれてくれて求めてくれたように、亮がいまも自分と直接逢って愛を確かめ合いたいと言ってくれている。それは何をおいても奈岐にとって生きがいを与えてくれていた。
そうだった、亮は奈岐の女にとっての生きがいなのだった。


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