狂宴-1
「お集まりの皆様、改めまして速水鈴香です」
鈴香はステージ上に上がると、自分のあられも無い姿を観に集まった観客たちに深々と一礼した。その姿はザーメンまみれの一糸纏わぬ体でなければ、思わず拍手を送りたくなるほど堂々とした立ち振る舞いであった。
「本日は私如きの為に足を運んでいただいて皆様方には感謝の言葉もございません。それなのに私の力任せの未熟な技術と時間配分のミスにより、相手の方が体調不良となってこれ以上続けることが出来なくなってしまいました。誠に申し訳ございません」
ステージ上でスポットライトで照らされる彼女の一挙手一投足に視線が集まる。
「そこでお詫びとして十分かどうかは分かりませんが、本日お越しいただいた皆様にこの私、速水鈴香の体を提供したいと思っております。既に汚れた体で大変申し訳ないのですが、私の総身をもって皆様にご奉仕させてください」
鈴香の発言にその場にいた全員が驚いた。
「お一人ずつでも皆様全員で同時に相手をしても私は一向に構いません。お客様の溜まった欲望を全て私に吐き出して欲しいのです」
「ちょっと、ダメよ!」
すかさず夜雲が口を挟む。
「ここは乱交パーティーをやる場所じゃないの。勝手な真似はしないでちょうだい」
「ふふ、夜雲さんこそ、お客様の今の状況をわかっていらっしゃるのですか?」
毅然とした表情でステージ上の鈴香を見る夜雲に対し、悟りを開いたかの様な慈母の笑顔で夜雲を見下ろす鈴香。
「私には分かります。カーテンの向こう側のお客様達が今どれだけ情欲を燻らせているのか。きっと今すぐにでも発散させたいと思っていらっしゃる事でしょう。こんな欲求不満なお気持ちのままステージを終えてしまい、そのまま帰られてしまってはお店の損失にしかなりません」
鈴香の言う通り、今この会場にいる全員が鈴香と龍司の初々しくも生々しい激しいセックスを見た事で激しい興奮状態となっていた。ただでさえ性欲が強めの人物ばかりである。このまま帰してしまっては、その欲求不満がそのままクラブへの不満へと変わりかねない。
「不愉快な思いのままショーを終えるのは私としても残念な事に変わりはないわ。でもだからといって・・・」
基本的にクラブ内での女の子へのお触りは禁止である。それは第3部であっても一切変わりない。夜雲が鈴香の提案を却下しようとしたその瞬間、バッとカーテンが開かれたと思うと全身もしくは下半身のパンツを下ろして男性器を剥き出しにした男達が我先にとステージへと群がってきたのである。