狂宴-8
不意に起き上がった夜雲が離れようとした足利と呼んだ老人をものすごい力で引き戻す。それと同時に若い男も女の細腕とは思えない力で引っ張ると、2人並べて地面に並べて押し倒し、彼らの前に仁王像のように見下ろす夜雲。男達はあまりにも咄嗟のことに言葉を失った。
「当店での嬢へのお触りは一部例外をのぞいて禁止事項となっております。それをお触りどころか婦女暴行などもってのほか。オーナーとして見過ごすわけには行きませんね」
先ほどまでのなすがままやられているだけだった姿はどこへやら。キリッとした視線でへたり込む2人を見下ろす夜雲。
「ま、待てよ。最初にやろうって言い出したのはあの速水って女じゃ」
「無論、こうなったのはあの子が原因ですので、こちら側にも責任があります。ですが、オーナーである私に手を出したのは正直やり過ぎと言わざるをえませんね」
そう言いながら、夜雲は足利と呼んだ老人の横に座ると、彼の股間をグッと力強く握りしめた。あまりの握力にハウッ、と悶絶する老人。
「ペナルティとして夜が明けるまで私の相手をしてもらいましょうか。男性器は若々しいとはいえもうお歳ですから、腹上死などはなさらないでくださいね」
サキュバスのような雰囲気を出しながら2人を睨みつける夜雲。健康的な褐色肌に豊かなバスト、頭頂部にはコリコリとしこり勃った乳首、艶かしいヒップと正反対に贅肉のないくびれたウエスト。
そんな女から脅迫に近いとはいえ誘惑されたら魅了されない男などいるはずがない。老人と若社長の2人のペニスは気持ちとは裏腹に、本能的に硬くしていた。
「ふふ、それではお客様、死ぬ気で満足させてくださいね」
ペロリと舌舐めずりしながら色っぽい仕草で2人に襲いかかる夜雲。
彼女からしたら今の状況は本意と不本意の間の複雑なところであった。本意は鈴香の性への喜びと目覚め。鈴香に男を手玉に取る才能があると見抜いた夜雲にとって性の知識と経験を彼女が得る事は喜ばしい事であった。露出やレズプレイの経験を重ねても男性相手に接客する以上男を知ることは必要不可欠。なので、トラブルがあったとはいえ鈴香がステージ上で観客達を煽動した事は夜雲にとって嬉しい事ではあった。
ただし不本意だったのは鈴香の覚醒した性欲が予想以上だった事で、クラブのルールを逸脱する乱交を提案されるだけでなくあまつさえ自分だけでなく他の女の子達もそれに巻き込まれた事であったのだが。