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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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薬局の前にて-2

 事を終えてホテルを出ます。

 「あのドリンクって男性用なんですよね? わたしが飲んだらどうなるのでしょう?」
 「ああ、実はウチのカミさんに飲ませたことがあったんですが、なんにも変化なかったですね」
 「そういうものなんですね」
 「まあ、ボクにしてもなんというか儀式みたいなもので。自分の気分を上げるというかね。一度、途中でまったく役に立たなくなったことがあって相手をがっかりさせたものだから、トラウマになってるというか…。貴女に出逢ってからはそんなことは一度もないし、本当はあんなものをいちいち飲まなくてもいいんだろうけど、長年の習慣みたいなところがあって。やっぱり失礼だったかな…」
 「いえ、そんなこと思ってないです…。張り切っていただいているんだな…って思ってます」
 「ははは、そう思っていただければたすかります」
 「さっき、わたしにも薬局に行かせてみたい…っておっしゃっていたのは…」
 「ああ、すみません。あそこの夫婦がね、いろいろ茶々を入れるものだから。ちょっとやりとりを味わっていただいてもいいかな…なんて思ってしまって」

 要すれば、やってきた客が不倫のためにこのホテル街を訪れたということを見抜いてからかうようなことを言ったりするようです。

 「まあ、ドリンク剤とコンドームですって? 貴女みたいな方が昼間っから間男とおセックスだなんてね」
 「それならおすすめのがあるよ。この『赤まむし 極道』なんて奥さんなんかにはいいんじゃないかな」
 「何発やるつもりなの? コンドーム1箱で足りるかい? まあ半ダース入ってるからなんとか間に合うかね。足りなくなったら電話しておくれよ。どこでも配達に行くよ」

 …そんなことを言われたら羞恥心で顔が真っ赤に…それどころかもう立っていられないかも…。などとそんなシーンを勝手に妄想しているとお相手が話しかけてきて我に返ります。

 「まあ、貴女はあんなものを飲まなくても全然大丈夫ですよ」

 (それってどういう意味なのかしら…)

 戸惑っているとお相手が手を引いて路地裏にわたしを引き込みます。

 「1万円、必ず返します。今度いつ逢えます?」
 「いえ…いいんですよ、本当に」
 「まあ、そう言わずに」
 「じゃあ、来週の今日、同じ時間で…」
 「了解です。お金を借りるというのもいいものですね。返す約束はそのまままた貴女にお逢いできるということになりますからね」
 「じゃあ…今度もバッグはお忘れになってもいいですよ」

 自分でも驚くようなことを言ってしまいました。お相手が唇を重ねてきます。人気のない雑居ビルの入り口に身を隠すとお相手がスカートの中に手をさし込んできます。わたしもお相手の股間に手を添わせます。その日初めてラブホテルをはしごしてしまいました。

 「遅くなってしまいましたね、すみません…」
 「いえ、大丈夫です…」

 お相手のお顔にはお疲れの色がありありと浮かんでいます。わたしの容貌もかなりやつれているかもしれない…そんなことを思いながら、細い路地から通りに出ると薬局の前でした。夕暮れ時で灯りがともっています。白衣を着た老夫婦が店先の商品を取り込んでいます。

 「あの夫婦なんですよ。いろいろ冷やかされてね。『今日も元気だね。もっと元気におなりよ。どっかの人妻をよがり狂わせておいで』なんてね。今、声を掛けたら『半ダースで間に合ったのかい? また買いに来ておくれよ』とか、『一度きりの人生だからね。楽しまなくちゃ』なんて言ってくれるんだろうなぁ…」

 お相手はなんだか今日の報告でもしに行きたそうです。

 「でも『あんたが遊んでいられるのも奥さんがいい人だからなんだよ』とか言われたりもしてね…」

 そんなことを聞かされるとわたしにしてもちょっとは良心が痛んでほろ苦い思いがこみ上げてきます。

 (あなた以外の男とコンドームを半ダースも使ってしまいました…)

 帰りがけにスーパーで夫の好きなおさかなの刺身を買って帰りました


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