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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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妻を他人に (10) 変化-1

 パープルのバイブレーターを花弁に押し当て、ゆっくりと力を込める。

「ん……んん……はぁ……ぅ!」
 膨らんだ亀頭が肉襞を押し分け膣に侵入してくる。
「……っくぅ……っ!」
 ニュル――ニュププ――プチュ――。
「はぁ……んっ……んん……ふぅ……っ」
 亀頭先端が子宮口まで到達するとゆきは大きく息を吐き、下腹部にじんわりと広がる快楽の波を受け止めた。バイブレーターをこね回し膣奥の性感帯を探る。ブラジャーのホックを外し片手を乳房にあてがう。しこった乳首を指先で刺激する。性玩具を動かす手の動きが速く、大きくなり、やがて激しいピストン運動へと変化していく。
 ジュプ、ジュポ、ニュポン、ジュプ、ジュポ、ニュポン――。
「はぅん! ぁはん! んひっ! はぅん! ぁはん! んひっ!」

 家族が出かけ一人きりの休日の午後、都内マンションの一室で、人妻のオナニーが本格的に始まった。

  *

 Zに抱かれたあの日から三週間が過ぎた。

 ゆきは夫の目を盗んでは毎日オナニーをしている。夫の帰宅前の寝室で、夫としたあとの深夜のトイレで、バスルームで。女子大生のころから今までそれなりのペースで自慰行為を楽しんできたゆきだが、あの日以降かつてないほど回数が増えている。理由ははっきりしている。Zのペニスの感触が忘れられないのだ。
 夫のものとは比較にならない太さ、長さ、圧迫感。下半身を抉られ、淫肉を掻き出されるかのような野性的な抜き挿しに、ゆきは何度もイかされた。大学時代、スワッピングや4Pで爛れた関係を持った楓の恋人Eのペニスを思い出した。

「ぁあっ! ぁふんっ! んぁあっ! んふぅっ!」

 あともう一息でオーガズムに達する。
 三十八歳の人妻が昼間から変態的なオナニーに耽っているという事実が、ゆきのマゾヒスティックな羞恥を煽る。

「んふぅっ! んふぅっ! ぁあふぅっ! んんぁっ! ぁあっ! ぁああぁぁぃいいいいぁあ!」

 迫りくる頂(いただき)への期待に膣肉がきゅぅと収縮したそのとき、扉が開く音がした。

  *

 ガチャリ――。

 文字通り心臓が飛び出しそうになった。
 あ、見られた。
 終わった。

「ただいまー」
 
 夫だ。まだ玄関か? でもあの人はすぐ寝室へ入ってくる。バイブレーターをしまう暇はない。いやいや、それ以前に今の私は、下半身に何も身に着けていないじゃないか。焦りで思考がまとまらない。とにかく動かなきゃ。その辺に放ってあったショーツを掴み取り、デニムパンツをかき寄せる。裏返しだ。もう、なんでこんなときに。今までの私ならこんなヘマはしなかった。家族の帰宅時間が読めないときは着衣でオナニーをしたし、性玩具も不使用ないし小ぶりなローターをチョイスした。やっぱり最近の私はどうかしている。いくらZくんとのエッチが忘れられないからといって、性欲に支配されすぎ。正常な危機管理能力が失われている。
 震える手では、裏返ったデニムパンツを直すにも時間がかかる。夫の足音。廊下を歩いている。もうすぐにでも夫が入ってくる。なのに私はまだ何一つ、オナニーの痕跡を消せていない。間に合わない。ああ、ドアノブが回転している。もうだめだ。

 ガチャリ――。
 あ、終わった――。
 今度こそ、見られた――。

「ゆきー。ただいま」
 寝ている振りを通すしかない。
「あれ? 寝てるのかー」
 夫がベッドに近づいてくる。

 ドアが開くか開かないかの瀬戸際で、バイブレーターは枕の下に突っ込んだ。愛液とおりもので汚れていたが構ってはいられなかった。下半身は裸のままである。ショーツとデニムパンツは身体の下に押し込み、毛布を脚先から首元までかぶって隠している。おかげで今の私は不自然なまでに真っ直ぐな寝姿になっていることだろう。一連の慌てぶりを見られたか否かは神と夫のみぞ知る。

 夫はゆきの顔をまじまじと見つめ、毛布をぽんぽんとのんきに叩く。乱れた吐息を必死で抑える。胸の鼓動が聞かれそうで怖い。イきそびれた下半身には快楽の残滓がくすぶったまま渦を巻いていて、正直今は不快でしかない。
「んー。ゆきちゃん寝顔も可愛いー」
 ほっぺたにキスされる。空気の読めない夫の行動に腹が立つ。いや読まれても困るのだが。
 とにかく放っといてほしい。今こちらは寝返りを打つだけで隠したバイブレーターやらショーツやらが顔を覗かせてしまうかもしれない大ピンチなのだ。シーツに染みもできているかもしれない。確認する暇もなかった。背中の下に押し込んだ着衣がでこぼこしていて落ち着かない。あ、ブラジャーのホックも外れたままだ。毛布を剥ぎ取られたら、今度こそ終わる。

 とにかく、早く出ていって。あなたが出ていけばおもちゃを隠し、ショーツとズボンを穿き、ブラのホックをつけられる。
「ちょっとほっぺが赤い? 息も少し粗いし……風邪気味かなあ。なんでだろう?」
 一人エッチしていたからです。全身がまだ火照ってます。普段は鈍感なくせになぜ今そんなことに気が付くの。
「美味しそうなショートケーキ買ってきたから一緒に食べようと思ったのになー。残念だなぁ……」
 なに――?
「あれっ? ゆき……起きた?」
 しまった。聞き捨てならない発言につい反応してしまった。夫と思い切り目があってしまって今さら寝たふりには戻れない。どうしよう。

「早く準備して」
「は?」
「ショートケーキ。あと紅茶。ミルクたっぷり」
「なんだよー。せっかく旦那様が長旅から帰還し超久しぶりに帰ってきたってのに、ひとことめがそれー?」
「二時間ぶりでしょ。それより早く」
「わかったわかった。俺もそのつもりだったからさ。それより体調は大丈夫?」
「大丈夫だから。早くして」
「へーい」

  *


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