妻を他人に (9) ありがとう-3
夫がまた激しく腰を振り始めた。
なにこの人。可愛いよー。
「ん、んん……そうだよ? パパのおちんちん、気持ちよくないの……ぁん……だって最初、入ってるって分かんなかったもん……」
「うぅ。で、でもそれは……ゆきのまんこが緩くなってたから……」
ゆ、緩く? 酷い。言っていいことと悪いことがある。
「な、なに……!? 失礼ね!」
「あ、ごめん……いやでも本当に……」
「まだ言うの……!? パパのおちんちんが小さいだけでしょう?」
「ごめん……ゆきの緩マンには小さすぎるよね……ああ、ゆき!」
「ゆ、ゆるマ……もう……! 酷いよパパ……ぁ……あぁ、んん……」
「あれ? ゆき、さっきより感じてる?」
「ん、んん……別に……感じてなんかないもん……んん……」
「ゆきーー!」
「ぁん……ん、んん……ぁん……」
気持ちいいよ、パパ。
「ぁん……Zくんとのエッチに比べたら……パパとなんて……ん、んん……」
これは本当。ごめんね。
「ゆき……ゆき……!」
「ん……ぁん……ん、んん……ぁあん……」
でもやっぱり、パパが私に興奮してくれて、愛してくれているのが伝わってきて嬉しい。
もっとして。
エッチな気分になっちゃうよ。
「ん……ぁん……ぁあん……ぁあ……ん、んん……ぁあ……ん……ぁあん……」
すごく硬くなってるのがわかるよ。
あぁそこ。おまんこの入り口のところ、もっと擦って。
もっと激しくして。
「んん……ぁっ……んっ……ぁあん……ぁん……ぁ……んっ……んん、ぁん……」
そう、すごく気持ちいい。
そのまま。もっと――。
「あぁ、ゆき……!」
あれ? もうイっちゃった?
もうちょっとしてほしかったな。
でも頑張ってくれてありがとう。
ゆきは夫をぎゅっと抱きしめ、そっとキスをした。
*
私とのセックスを終えた妻がベッドに腰掛け、ペットボトルの水を飲んでいる。
喉を小さく鳴らし水分補給しながら、何を考えているのだろう。
人妻の身でありながら夫以外の異性と唇を重ね性行為を行ったというのはどんな気分なのだろう。一日に二人の男性のセックスの相手を務めるというのは、女性にとってどんな体験なのだろう。
ゆきの横顔を見つめる。私の大好きな、涼しげで、愛らしい横顔。どう見てもだいそれたセックスとは無縁そうな顔をしているこの清楚な妻は今日たしかに二人の男性に股を開き、女性の大切な場所に二本のペニスを挿し込まれ、精液を注ぎ込まれた。
すっと伸びた顎のライン、うなじの後れ毛、首元にのぞく鎖骨。パジャマの布地は適度に膨らんだ乳房と先端の突起に押し出され、すとんと下に垂れている。裾からは白く丸いヒップが見え隠れし、ファストファッションブランドの「二軍」ショーツが太ももにくしゃっと丸まりひっかかっている。なんだこの、セクシーな生き物は。
横から手を伸ばしパジャマの裾をめくると、これまた私のお気に入りのゆきのくびれが現れた。どれほどスリムな女性でも座るとお腹には脂肪のたるみができるものだが、ゆきの腰回りもご多分に漏れずぷにぷにと柔らかそう。三十八歳を迎えほんのりとだらしなさを帯びてきたその場所の肉を指先でつんつんし、ぷにゅりと摘む。
「こら!」
ペットボトルで頭を叩かれた。
「Zにもこういうことされた?」
「Zくんはそんな失礼なことしません」
「じゃあこれは?」
パジャマの上から乳房に手を添える。胸の膨らみを下から持ち上げ、すとんと落とす。手のひらにその重みを感じながら二度、三度と人妻の乳房をたぷんたぷんと弄ぶ。乳首を突付き、転がす。
「こーら……っ」
私を睨むゆきの瞳が少し潤んでいる。
「Zにもされた?」
ふふと小さく笑い、こくりと頷くゆき。
たまらなくなった私は妻を後ろから抱きしめ、振り向いたその口にキスをする。胸を揉みしだき乳輪をなぞる。パジャマのボタンを外していく。
「……? エッチ終わったのになんで脱がすの?」
「なんかゆき嬉しそう……?」
「べ、別に……嬉しくなんかないし……」
「他の男に抱かれたゆきの裸を見てみたい」
私は一糸まとわぬ姿となった妻の素肌に手を這わし、彼女を押し倒した。
「ん……別に今までと、変わらないよぅ……」
そう、変わらない。
つんと立った乳首も、仰向けになると少し横に垂れる乳房も、脂肪を薄っすらまとった腰周りも、昨日までと何ら変わらない。しかし間違いなく、この透き通るような白い肌、滑らかな曲線を描く肢体は今日、よその男に見られ、愛撫を受けた。
ゆきの両脚の間に割って入る。妻の太ももを抱えぐいと押し広げる。
「ん……んん……」
あられもなく開かれた妻の股間の中心には、お世辞にも美しいとは言えない花が咲いている。くすんだ色をした肉厚の花弁、その両側までびっしりと陰毛に覆われたいやらしい妻の女性器。なまじゆきが整った顔立ちをしているだけに、この場所のグロテスクさが際立つ。
「ぁん……またするの……?」
「うん。ゆきが可愛くてエッチで……たまらない……」
「パパのほうがエッチだよぉ……」
愛液に濡れ、縮れ毛が毛束状になって生い茂るその場所から、生臭く酸っぱい匂いがむわりと立ち上る。その香りはゆき特有の甘い体臭と混ざり合い、淫猥なフェロモンとなって鼻腔を刺激する。
私は亀頭をゆきの花びらにあてがい、体重をかけた。ペニスがにゅるりと妻の体内に飲み込まれ、温かな感触が陰茎を包む。
「エッチなのはだめ?」
「……いい」
恥ずかしそうに目をそらし、耳まで赤くして照れているゆき。
まるで少女のような可愛いらしい所作と、今日見せた絶望的痴態とのアンバランスがたまらない。