desire or not?(秋良と美冬・2)-2
「……私ね、もう、濡れてるの。だから……お願い」
とろんと熱く潤んだ瞳で見つめられ、俺の心臓は壊れてしまうのではないかと思うほど強く、跳ね上がった。
無我夢中で美冬の身体を抱き締めて、唇を貪る。
美冬は嬉しそうに背中をしならせ、重なった唇の隙間からため息のような甘い声を漏らした。
唇を重ね合わせながら、薄く目を開いて美冬の顔を覗き見る。
美冬はうっとりとした表情で瞼を閉じて、まるで俺との口づけに酔っているようだ。
眩しいなあ。俺は美冬の顔を見て、そんなことをぼんやりと思う。
ああ、本当に眩しい。目を開けていられないくらいだ。
わあ、どんどん光が強くなるよ。眩しさも増して……
……ん? 眩しさも、増し、て――?
ぱっちりと目を開くと、俺の顔の上に明るい日差しがさんさんと降り注いでいた。
一瞬、事態が飲み込めなくて、俺は何度も瞬きを繰り返す。
窓際で、開けたカーテンをまとめて留めながら、美冬がきょとんとした顔で俺のことを見ていた。
「おはよう、秋良ちゃん」
にこにこと笑って、美冬は布団の横にすとんと座った。その姿を見て、俺はほんの少しぎくりとする。
勝負下着のスリップドレスには程遠いが、美冬は、肩も露わなキャミソールワンピースを素肌に一枚で纏っていた。
けれども。美冬は、やわらかい薄茶の髪を、左右に一本ずつのゆるい三つ編みにまとめていて……残念なことにその姿は、お世辞にも20歳には見えない雰囲気だった。
俺はほんの少しほっとして、胸を撫で下ろす。
美冬は俺のその様子を見て、不思議そうに小さく首を傾げた。
「夢でも見てたの? なんだか、楽しそうに寝言言ってたよ」
「……え。な、なんて?」
「えーとね。笑いながら『美冬、気持ちい――」
「わ、わ、わああああああああああーーーーーー!!!」
俺は近所迷惑も顧みず、己の恥を力業でねじ伏せた。
ぜえはあと肩で大きく息をしながら、きっ、と美冬を睨む。
「美冬、おまえはっ!なんで真夏でもないのに、そんな格好してんだよっ!」
完全に八つ当たりだ。
「えっ。だ、だって……今日けっこう、日射し強いから……洗濯物干してたら、暑くって……」
しどろもどろに答える美冬は、いつもの美冬だ。 上に何か羽織ってこいよ、と伝えると、美冬は渋々と頷いて、隣の部屋に移っていった。
「なー、みふゆー」
「んー? なぁにー?」
引き出しをあける音、がさごそと服を選ぶ音をさせながら、美冬はのんびりと返事をする。
「お前のさあ、勝負下着って、何色?」
「えー? えーとぉ……って、え、ええっ?あ、秋良ちゃん!? なんで、そんなこと聞くのっ!?」
白いカーディガンに袖を通し終えた美冬が、部屋の境目の襖に真っ赤な顔をしてしがみつきながら俺に聞いた。