処女の値段-6
廊下を何個か曲がると行き止まりにぶつかった。道を間違えたのかしら、そう鈴香が思っていると夜雲は行き止まりの壁の一部を力強く押し込んだ。するとベコッと夜雲が押した箇所が奥に引っ込んだかと思うと、ウィーンと行き止まりの壁が左右に吸い込まれていった。壁の中にはエレベーターが用意されていた。
呆気に取られる鈴香に、夜雲がフフッと微笑む。
「このビルにはまだまだ秘密があるわよ。今から行く場所も設計上は存在しない階だから」
行き先ボタンは2つだけ。夜雲が下の階の行き先ボタンを押すと、エレベーターは静かな音を立ててスーッと下っていく。
エレベーターの扉が開く。薄暗い照明に照らされた30畳ほどの広さの部屋。いつも鈴香達がストリップをするフロアと同じように中心に円形のステージか用意されており、その周りをカーテンで仕切られたテーブル席が囲んでいる。一見するといつものフロアと同じように見えるが、テーブルがステージに少しだけ近づいている事と、ステージの上にポールではなくパイプベッドが用意されているのが違っている。
「テーブルからセックスするところが丸見えですね」
「第3部は2部までと比べて料金を倍取ってるから、そのくらいのサービスはしないとね」
2人がステージ真ん中のベッドに歩いていく。上と同じで、ボックス型のテーブルの前にはステージ側からは中が見えないようなカーテンが敷かれている。したがって席で誰が自分たちを見ているのかはわからないようになっていた。
「そろそろ時間ね。鈴香ちゃんはこのアイマスクをつけてベッドの上で座って待ってて。あと10分くらいで上のステージが終わって、関係ないお客様を退出させてから第3部のお客様をこっちに誘導するから。セックスの相手がアイマスクを取ってからプレイ開始よ」