処女の値段-17
エクスタシーの嵐に呑み込まれる。すると絶頂を迎えた瞬間に不意に体のバランスを崩した鈴香がベッドから転げ落ちそのままステージから床に落ちそうになった。
「危ない!」
誰かが叫んだ。たが黒い影が咄嗟に飛び出して落ちかけた鈴香を支える。助けたのはステージ横で見守っていた夜雲だった。日頃から鍛えているのか、女性のしなやかな細長い腕にも関わらず鈴香の全体重がかかっても平然としている。
「大丈夫だった?」
「や、夜雲さん。はい、ありがとうございます」
礼を言う鈴香だったが、ステージに目を戻すといつのまにか一条志織がベッドの上でピクリとも動かない龍司の様子を伺っていた。
「ふんふん、・・・あー、この子さすがにもうダメかも。白目剥いちゃってるし、賢者モード中に無理矢理射精しちゃったからしばらく使い物にならないね〜」
志織は両手でお手上げ的なポーズをとると、そのままお姫様抱っこの様に龍司を両腕で抱き抱えそのままステージ裏へと運んでいった。同世代よりも体重が軽い龍司だから運べたのだろう。
「困ったわね。まだ時間は残ってるのに、相手がいない様じゃあステージが成り立たないわ」
どうしたものかしら、と思案する夜雲だったが、
「ふふ、夜雲さん。私に良いアイディアがありますよ」
そう呟くと全裸のまま再びステージに上がる鈴香。流れる様にスムーズに動いたため夜雲が止める隙さえなかった。
何をするつもり?
思わず夜雲が尋ねた。鈴香が振り返る。
そこには性に限らず金や命の駆け引きなど一通りの修羅場を潜り抜けていた夜雲でさえ、思わずゾクッと背筋を震わせるほどの妖艶な笑みが浮かんでいた。。
速水鈴香の性の狂宴はまだ始まったばかりであった。