第四十五章 悲しい再会(画像付)-2
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信号を渡りきり駅前の広場からアーケードをくぐる頃、少女の胸にざわついた感情が広がり始めていた。
ジワリと滲んだ視界に二人の残像が浮かび上がる。
「ご、ごめんなさい・・・」
呟く声は、すれ違う人々の耳には届かない。
ビクンと顔を上げた。
ポケットに入れてある携帯電話が反応して、ヴァイブレーターが作動したからだった。
むず痒い感触をそのままに少女は歩き続けていく。
圭子には見なくても分かっていた。
駅ビルの反対側の大きな交差点にかかる陸橋の下に、黒塗りの車が停車していた。
それに向かい、小走りに近づいていく。
開いたドアに身体を滑り込ませると、その男が待っていた。
ドアが閉めると同時に、アクセルを踏み込まれた車は駅のロータリーをゆっくりと離れていった。
圭子は隣で運転する竹内の顔をチラリと見た後、バックミラーに写る駅の風景に向かい心の中で呟いた。
(さよなら・・・)
そして膝に置いたカバンの柄をギュッと握り締めながら、零れ落ちようとする涙を懸命にこらえるのだった。