第十五章 変化(画像付)-3
(あぁ・・ええ顔や・・・)
天使の笑顔は無敵である。
啓介の胸はその一言だけで熱くなった。
「でも、悪いわ・・・」
一瞬、例の眉をひそめる顔に変わる。
「ええ(良い)、えぇ・・・て」
男はその表情も好きであったが、やはり今は笑顔を見たくて大きなジェスチャーで言った。
「フフッ・・・」
その仕草が可笑しくて、恵は男に微笑みをプレゼントした。
再び男の胸がざわめいてくる。
「でもこれ、いくら位だったんですか・・・?」
失礼と思ったが聞かずにはいられなかった。
「んー、まぁ・・120万や・・・」
啓介はわざと、ぶっきらぼうに答えた。
「えっー・・・?」
恵は目を大きくすると、改めてブレスレットを眺めた。
本当に上品なデザインであった。
「えぇんや、それぐらい。
わしゃ、金持ちやさかい・・・な?」
まだ目を丸くしている天使にイタズラっぽく笑いながら言った。
「・・・ぐらい、持っとんのや」
その金額は恵には到底想像もつかない程で、強いて言えば一生遊んでも余るものだった。
「そやから今度買いもんでも、いこ。
おごったるわ・・・」
義父の言葉に瞳を輝かせた恵であったが、キッと睨むような表情に戻った。
「ダメですよ。ムダ使いは・・・」
男の心に又、新しい好みの表情がインプットされた。
啓介は感慨深気に声を出した。
「おぉ・・・そや。
そんなとこがアンタのええとこや・・・
そやな、金は大事にせなあかん・・・」