第十章 残像2(画像付)-1
【啓介と同居 三ヶ月目】
【20●1年3月15日 PM0:30】
リビングで。
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スカートの裾を握り締めるようにして恵はソファーに座っていた。
まだ胸がドキドキしている。
さすがに男の裸位で我を無くす程ウブな訳では無かったが。
あんなに間近に・・・。
しかも、はちきれんばかりに反り返るものを見たのは初めてであった。
夫の武のものでさえ明るい所では見た事が無かったし、一度「口で」してあげた時も終始、目を閉じて見ないようにしていたのだ。
はなからグロテスクなものと興味がなかった。
いや、意地になっていたのかもしれない。
巷に溢れるポルノ・グラフィーでの安易に女が欲情する表現が腹立たしく、自分の心に強いバリヤーを絶えず張っていたのだ。
だが、昨日今日と恵の心は揺れていた。
この数ヶ月にピークに達していたストレスと疲労感が、恵の気持ちに微妙な変化を与えていた。
信頼していた夫の冷たい態度。
嫌悪していた義父の意外な優しさ。
新しく豪華な住まい。
輝くブレスレット。
それらが恵の頭の中で渦を巻いている。
義父の大きく赤黒いものが恵の脳裏から離れなかった。
身体が火照ってくる気がする。
自分の息が微かに聞こえるのが解かる。
頭の中に残像がクッキリと広がっていた。
恵は知らず知らずの内に、その記憶をたどっていく。
バスタオルで身体を拭いていた義父はその分、下半身を剥き出しにしていた。
根元よりも先が太いカリ首が深い影を作っていた。
反り返ったそれは、血管が浮出てコックにらせん状に模様を作っている。
思わず吐息を漏らした。
身体の芯がむず痒い。
恵は自分の頬に手を当ててみた。
火が出たように熱くなっている。
何か切ない思いが込上げてきた。
恵は頬に当てていた手を胸に滑らせると、セーターの上からそっと触ってみた。