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『恵美の場合』
【レイプ 官能小説】

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『恵美の場合』-1

沈みかけた太陽が、西の空を真っ赤に染めていた……

「あっ、あのーっ……スミマセンが……」
僕は両手を広げ、通り過ぎようとする自転車の行く手を、半ば強引に阻む……キーィッとブレーキの軋む音が響く……

『はぁ?……何ですか?……』
白いダウンジャケットに、細身のジーンズ……茶色い髪が、北風になびき……大きな瞳が印象的な、なかなかの美人が……僕の事を、睨み付けていた……

「あっ……あのっ……電話……お持ちでしょうか?……電池が切れちゃって……どおしても、連絡を入れないと、いけない所が、あって……」

『はぁ?……』
行く手を阻まれ、怒って僕を睨み付けていた彼女の眼差しは……軟らかいものに変わっていた……呆れたと、言わんばかりに首を傾げ……ハアハアと白い息を吐きながら……ダウンジャケットのポケットから、水色の携帯電話を差し出した……

「あっ……ありがとうございます……助かります……」
直角にお辞儀をして、携帯を受け取る……僕の指先が少し触れると……彼女はビクリと反応し、手を引っ込めた……

「はい……はい……申し訳ありません……はい……はい……社に戻りましてすぐに……はい……はい……それでは、失礼致します……」
シールで埋め尽くされた携帯を折畳み……彼女に手渡す……

「ありがとうございました。助かりました。」
最敬礼をすると……彼女は、プッと吹き出していた……通話中に、ペコペコ頭を下げる僕の姿が、ツボにハマったらしい……

『じゃあ……私、急ぎますから……』
「はい、スミマセンでした……ありがとうございました……」
彼女は、微笑みながら会釈をすると、夕暮れの街の中に消えていった……


僕は一人部屋の中で、携帯電話を眺めていた……『不在着信あり』の表示の灯る携帯の画面……時刻は、22時53分……

意を決して、携帯のボタンを押す……090#*##1728……彼女の携帯番号が、画面を横切った……そお……夕暮れ時に、携帯を借りた……瞳の大きな彼女……

呼び出し音が、虚しく流れる……彼女の携帯電話には、見ず知らずの番号が表示されている筈である……出ないのも当然か……僕が諦め、電話を切ろうとすると……
『もしもし……』

「あっ、もしもしっ……あっ、切らないで……あの……あの、ぼっ、僕……内田健一って言います……二十八歳で……えっと……あの……夕方電話を借りた者です……」
『はぁ?……』
驚いて彼女の大きな瞳が、更に大きくなっているのが、電話越しにも解った……僕も、口から心臓が飛び出しそうな位、緊張していた……

「あっ、あの……貴女を見て……凄く綺麗な人だなって思って……そんでもって……あの……声掛けたかったんだけど……どおしたらいいか……判らなくって……御免なさい……嘘ついて……貴女の携帯から、自分の携帯に電話して……それで……」
『嘘ーっ……ありえないよーっ……』
僕の話が終わらない内に、ゲラゲラと笑いだす彼女……僕の口の中は、カラカラに乾いていた……

その後も、必死に説明する僕……電話の向こうで、彼女は終始笑っていた……

彼女の名前は、澤野恵美……通信制高校に通う十八歳……大人の色気が漂っていたので……もっと年が、上だと思っていた……残念な事に、彼氏が居るらしく……でも……僕の粘り勝ちで……彼女のメールアドレスをゲットする事に成功した……

「よしっ!……」
電話を切った僕は、思わずガッツポーズをしていた……恵美ちゃんかぁ……


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