ツーショットー2-3
もちろん、チャットで直接に女性と男性が逢うことは禁忌だった。
システムのルールとして書いてあることだった。しかし、チャットをするだけで相手に会うことができないということが100%確定しているとしたら、チャットする男が、女がいるだろうか?もし本当に素敵な相手だったとして絶対に逢うことが無い、というのを許容できる男性、女性がどれだけいるだろうか?
少なくとも亮が絶対奈岐とはシステムを超えて外で逢えない、としたらチャットをするかと言えばしないだろう。好きになった同士の自由な行動を妨げるものなどあるはずもない、そう思っていた。
チャットのシステムは女性にとっては収入を得る手段でもあった。そういう意味では風俗と言えば風俗である、キャバクラと似ていて考え方によっては同じだという女性もいる。しかし、女性にとって風俗やキャバクラほどにハードルのあるものではなかった。相手に接することなく、強要されることもなく相手が気に入ればお金が手に入る。そこに限定する限り安全なアルバイトではあった。もちろん、録画されたりという違法な手段を使うやばい男がいないわけではなかったが、システムサイドも強固にその対策をしていはした。
そう割り切ってチャットでアルバイトもしくはかなり稼いでいる女性はたくさんいた。それがチャットを支えていた。もともとチャットとはそういうものだろう。しかし、そういう枠にはまらないことが起き得るのが男女なのだ。
亮は、軽率だったかもしれないが、
「また、逢おうね、いっぱい愛し合いたい」
「うん、またりょうさんと一緒に気持ち良くなりたい」
「なぎちゃんと一緒の時間は最高の時間だよ、こんな可愛い女性はいないよ、ホントに可愛い、ぼくの人生でこんなに好きになったことは何十年ぶりなんだろう、、、ほんと大好きだよ」
「嬉しい、、、、わたしもりょうさん、大好き、、、」
「いつか、可愛いなぎちゃんに直接会って愛を告白したいな」
「ふ、ふ、ふ、、、、、、、してもらいたい、、、、」
奈岐も軽いノリで返して来たので、亮は良かったと思ったが、もしかしたら奈岐も同じ思いなのかもしれなかった。女はときにこうやって小悪魔のように振る舞うことがある。
「また、素顔同士でエッチなことしようね」
「うん、こちらこそお願いします」
時間が来てその日はそう言ってサヨナラをした。