最高のパートナー-3
「何ですぐに言ってくれなかったんだよー?」
とは言え嬉しそうな顔で都姫に聞いた。
「いろいろ悩んで…。特に今日、大事な会見があったから、それに全力を尽くさなきゃダメだと思ったし、何よりこれから美羽さんと手を組んで大事なプロジェクトを始めなきゃならないのに、妊娠したってなったらきっと迷惑かかるんじゃないかって不安で仕方なかったから…」
苦しい胸の内を吐き出した都姫。
「これからって時に、もし仕事をする上で迷惑かけるような事があったらどうしようって…」
「ンフ、何とかなるわよ、鉄平くんもいるし。都姫さんは鉄平くんがいれば大丈夫よ。」
「う、うん。」
申し訳なさそうに頷く都姫に鉄平は美羽さえも思いもしなかった事を言う。
「俺、考えてたんだけど、都姫の妊娠もビジネスチャンスだよ?」
「えっ?」
2人とも同時に鉄平の顔を見る。
「どう言う事??」
特に美羽が興味ありそうに聞いた。
「妊婦さんスポーツウェアも需要ありません?」
鉄平のその一言に目から鱗が落ちたような衝撃を受けた美羽。
「な、なるほど!!ある…需要あるし、妊娠中ってなかなか運動する気にならないけど、でも適度な運動は必要。産婦人科の先生に協力して貰ってどのぐらいの運動が体に負担をかけずに健康にいいのかを聞いて、ウェアだけじゃなくて妊娠中の運動企画をやる…、そう言う事だよね!?」
「はい。それに妊婦さんのウェアってこれまであまり手付かずの部分だと思うんで、妊婦でもカッコいい、可愛いウェアが着たいって人、たくさんいると思うし、ウェアを見て、これを着て運動してみようかなって人だっていると思うんですよ。だからそれがビジネスチャンスになるんじゃないかって!」
「鉄平くん、天才!!いい、それやりましょ!もちろんウェアのモデルは都姫さんで!」
「わ、私が…!?」
「そーよー。フィアンセの発案だもん、やらなきゃねー♪」
心配そうに鉄平を見る都姫。
「俺に任せろ♪」
そう言って親指を立てた鉄平が頼もしく見えた。
(この人に任せとけば全部大丈夫のような気がする…)
そんな気持ちを抱いた都姫は、
「惚れた♪」
と、そっと抱きついた。
「えー?今頃??フフフ」
そんな2人を見て美羽は羨ましく思う。
「見せつけてくれるわねー♪」
そう言って2人の肩にそっと手を置いた。