エアーセックス―1-1
奈岐は、やはり満たされたかった。睦夫との逢瀬のようにすみずみまで快感が行き渡り、身体のすべてが愛された充実感、場合によってはネット空間ではあってもそれが叶うことがあるかもしれないと期待だけは捨てなかった。
すくなくともここで振るまう限りは、安全だった。安全地帯にいて官能の喜びが味わえる。相手の反応も感じながら、イメージの中だけど身体を合わせることが出来る。
亮は年上らしく50代で比較的落ち着いた応答をしてくれていたし、奈岐はある意味男は頼れる年上が好きだった。奈岐の直感では、亮との間であれば、リアルともバーチャルともつかない中でも深く濃密なセックスを究めてみることが出来そうに思えていた。そういうこともあり、だから今まで書いたことが無いあんなに大胆に誘うようなメールを書いた。それが通じそうな気がしたのだった。
奈岐にとって、優しく愛されるセックス、それによって心から満たされること、そのことを身体が求めていた。そういうリクエストを亮にメールでしたつもりだった。
奈岐は亮とのメールのやり取りで触発されてしまったのかもしれない。夜一人でいるとき、気が付くと手が指が乳首やクリトリスに向かっていた。そしていつの間にかバイブレータまで出してベッドで一人悶えながらオナニーに熱中していた。
奈岐はいつの間にか、亮という年上の優しくエロい男に身体中の性感帯を愛撫され、愛おしんでもらいたい気持ちが募っていた。啓介との間での交接から二年以上が経っていて、生身ではないが男との交接の予感を目の前に身体が言うことを聞かなくなっていた。
奈岐は、亮に義父の啓一を重ねた。
マンションの玄関に突然、啓一が現れ、いやらしい目をした。
「お義父さん、なんで?」
「奈岐さんに逢いたくなってね、いいだろ?僕の身体が恋しかったんだろ?さあ、ベッドに行こう」
啓一は玄関のドアを閉め、鍵を回した。奈岐の腕をとり、素早く抱きかかえて廊下を歩いた。そして、キッチンに入って空間が広くなったと思った瞬間、奈岐の脚を掬いあげ、奈岐をお姫様にして寝室へと運んだ。
奈岐は、快感への期待に抵抗が出来なくなって啓一の胸に顔をうずめた。
奈岐はベッドの前に来て、男を見つめた。それは啓一ではなかった。奈岐が想像した亮という男は睦夫に似ていた。睦夫より少し細身だが男らしい体格で優しい真面目そうな顔をしていた。奈岐は亮に身体をベッドへ投げ出され、服を無造作に脱がされ始めた。
「なぎちゃん、君の生まれたままの姿が見たい、、、、」
あっという間にキャミソール姿にされたと思うや、さきにショーツを引きずりおろされ、脚を拡げさせられた。
「いやん、亮さん、、見ないで!、、、、」
心とは裏腹に言葉は抵抗していた。
亮は、奈岐の陰毛から下の性器の形、それから膣口をしげしげと見つめた。そこにはすでに愛液が溢れて光っていた。
「なぎちゃんは、すごく感じやすい女性だね。今日初めて会って可愛いくて驚いたけど、ぼくのどこにそんなに感じちゃったの?」
「りょうさん、、、、、好き!、、、りょうさんに抱っこされて堪らなくなって、、、、」
そこまで聞いて、亮は奈岐に覆いかぶさった。
亮は、奈岐の耳を口に含みしゃぶった。
「あん、、、、、」
奈岐の吐息が漏れた。
亮は、耳の穴に舌を入れ込んでいった。奈岐は、
「いやん、、、、」
「ダメだよ、いやでもするからね」
と、亮は舌をとがらせて奈岐の耳の穴を刺激した。