7-1
古いビルをそのままリフォームしたような見た目のネットカフェに入り、個室で陽菜は荷物を置くとそのまま横になった。狭いが小綺麗な内装で少しだけ休憩するには丁度いい。
薄いマットに身を委ねるように仰向けになると陽菜は目を閉じた。取り合えず1時間だけでも休んでタクシーを拾おう。地元の人なら神社の行き道くらい分かるはず。夜中で誰もいなかったとしても、神聖な場所なら悪霊は寄ってこれないはず…。病院を出てからずっと体がこわばっていた陽菜は、神社まであと少しということもあって気が緩んでいたのか、ウトウトとまどろんでしまった。ネットカフェの中の少しタバコ臭い匂い、ほかの利用客の咳払い、カップルシートからのヒソヒソ話…何もかもが、周りにいる生きた人間の音や匂いが陽菜を孤独から救ってくれた。
それで…この後どうするの?ふふふ…
カップルシートから声が聞こえた。だけどこの声は…まどろみの中から無理やり引きずり出されるように覚醒した。この笑い声は。それに急に周りの空気が湿った匂いに変わった。幼い頃夜中に目覚めて両親の部屋に入ったとき、両親がバタバタと布団をかぶってモゾモゾしながら焦った様子で私に話しかけていた時のあの匂い。父の出張中に帰宅すると知らない若い人が家から出ていくのが見えて、家の中に入ると母が汗ばんでいた時の、あのリビングの匂い。
総毛立ちながら目を開けると、やはり天井に見えたのはあの薄暗い蛍光灯だった。
「そんな…何で…」
今度は声が出せる。逃げられる。体を起こすと陽菜は全裸だった。
ふふふ…ははは…ふふふふふ…はっはっはっ…あはははは…声は一つだけじゃない。どこからともなく、部屋のあちこちから老若男女の笑い声。楽しそうな笑い声ではあるが、私が嘲笑されていることは伝わってきた。
般若心経?キリスト教?それとも…
どれも無駄よ
首筋から耳、わき腹に一斉に指が這いまわった。
「あっ!い…いや…やめて…」
うっすらとしか見えないが無数の手が指が、陽菜の体に這い回り、恐怖どころではない快感に打ちのめされた。
「いやっあっあああっ!だめっ!ダメだって!待ってそれ嫌ぁぁ!」
陽菜の体はなすすべもなく態勢を変えられ、肛門にヌルリと舌が這う感触が襲ってきた。むず痒い、むず痒すぎる…もっと舐めて…
「だめ!おかしくなるからぁ!ああっ…いやぁぁ!」
舌の後に指が陽菜の穴という穴を激しく甘くかき回し、陽菜は仰け反りながら快感に泣きじゃくった。舌はなかったはずなのに、指だけだったはずなのに、今は陽菜の半開きの口に舌が入り込み、唾液を混ぜ合わせるように舌を絡ませた。
あなたが気にかけてた男も泣きながら逝ったわ。ふふふ…命乞いしながらしゃぶり尽くされたのよ。あなたも時間がかかったけど守ってくれてるものがなくなって入り込みやすくなったわ。おかげで舌で味わえる…
「い…や…あああああああっ!そこダメッ!さっき逝ったばかり…いやっああああっ!もう許してぇ!許してぇ!」
四つん這いにされ陰核をヌルヌルとこね回され、太股を痙攣させながら潮を吹いた。
「また逝く…ああああっ!あっあっあっ…いやあああああダメえええええ!気持ちいい!ああああぁぁぁああああっ!」
ふふふ…見える?あなたのお友達も“これ”で尽きたの…ふふふ…
陽菜の目の前に人間のものとは思えないサイズの陰茎がそそり立っていた。
「ひ…い…いや…入らない…入らないってば…あっ!あっ…ぁぁ…あっ…ああああっあっいっひぁぁああああっいやあああああっ!」
ね?気持ちいい?蕩けてきたわね…柔らかくなって…前も後ろも入った…ふふふ…堪らないでしょ?もっと蕩けちゃうわよ…
「んぁああああああっ!気持ちいぃっ!うぁああああっ!」
ほぉら、中だけじゃなくて外側も…こちょこちょこちょ…くすぐったい?違うよね?気持ちいいのよね?ふふふ…レロレロレロ…もどかしい?狂いそうでしょう?いいのよ…ふふふ…
「あっおっあっ…あああっあっあっいっいいったっあったすけ…」
体の表面も内側もトロトロ…蕩けてきたわね…もう私たちと一緒…ずっと新しい相手を求めながらこの快感に狂い続けるの…体溶けちゃったわね…体なくなっちゃったのに気持ちいいでしょ?どこが気持ちいい?分からないわよね?でも何も考えられないくらい気持ちいいでしょ…ふふふ…逝った時の気持ちよさなんてないわ、もう逝ってるんだから…ずっと止まないわよ…ふふふ…
気持ち…いい…どこが…分からない…助け…助からないのか…何も考え…られないくらい…気持ちいい…私…だけじゃない人の気持ちよさまで…お願い…誰か…一緒に気持ち…良く…なって…