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【学園物 恋愛小説】

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メル友[想の向こう側]-2

―30分後。

アキヒサからメールは返ってこない。
つまり、私はアキヒサの中で嘘吐きとして扱われてる訳だ。もちろん私が悪いのだけれど、辛かった。少なからず期待していたような気がする。アキヒサなら『そんなの気にしないよ』って言ってくれると思っていた。だからその分、もうメールが出来ないと思うと、すごく寂しかった。
でも、これで良かったのかもしれない。
アキヒサが、私を見て落ち込むんじゃないかという心配はしなくていいし、騙しているというモヤモヤした罪悪感も無くなった。

―それから30分後。

メールを送ってから一時間が経った。私にしてみれば「まだ一時間か…」って感じだったけど。
私はお風呂に入ろうと思い、携帯をベッドの上に置き部屋を出ようとした瞬間

―ヴヴ、ヴヴ、ヴヴ…

あ!
私はすごいスピードでベッドにダイブし、ドキドキしながらメールを開ける。

…アド変かよ!

期待が大きかった分、ダメージも相当だわ…。
はぁ〜っと溜息を吐きながら私は頭を抱える。

―ヴヴ、ヴヴ、ヴヴ…

今度こそ!
今回は本当にアキヒサからだった。メールの内容はこう。

『ユイさん、本当のこと言ってくれてありがとうございます。オレとタメだったなんてすごく驚きました。オレは年上がタイプだと言いましたが、本当はそれほど気にしていません。それに、タイプと愛情は違いますし…。むしろ、タメなら気を遣わないで済むので良かったです。年上の女性をリードするにはと、悩んでいたので。
19歳のユイさんにもう一度言います。ユイさんという一人の人に言います。
明日、ユイさんさえ良かったらオレと一緒に映画観に行きません?』

あぁ…。
良かった…本当に。
あれ?何か、鼻の奥痛いって…熱いって…。
近くにいるんだね、こんな私を受け止めてくれる優しい人が…。そう思ったら、こう、嬉しくて嬉しくて、体の奥から感情が込み上げてくる。
顔も知らない。声も知らない。背丈もファッションも何も分からない。だけど人としてのあったかさとか、優しさとか、アキヒサの目には見えないところはしっかりと分かる。
もちろん、私の返事は『OK』と『ありがとう』っていう感謝の言葉。


発展するかなんて今は分からない。この先どうなるかなんて誰も知らない。ただ、私の近くにはアキヒサっていう優しい人がいる。
恋だとか愛だとか、友達だとか彼氏だとか、好きだとか嫌いだとか、友情だとか愛情だとか、タメだとか年上だとか、そういうの一切関係なく『アキヒサ』っていう一人の人物に会えることが、素直に嬉しい。
会ったら話したいことがたくさんある。
前の恋を本当に乗り越えた向こう側には、どうやら私にとって大切な出会いが待ってるらしい。


[fin.]


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