運命の人-2
都姫の心は揺れる。
(ど、どう言う意味…?本気なの…?それとも揶揄われてる…?でも鉄平さんはエッチな事で私を責めても、傷つくような事はして来なかった。私の心を弄ぶような事はきっとしない…。鉄平さん、本気で私と結婚したいの…?分からない…。私は?私は鉄平さんと結婚しても…)
結婚してもいいのか、嫌なのか考えてみた。
(私は鉄平さんと結婚して幸せなの?幸せじゃないの?そもそも私は鉄平さんを好きなの?…好き…)
そう考えた時、まるで初恋をした時のように胸がドクンと鼓動した。
(えっ…?わ、私…鉄平さんの事…好きなの…!?)
今までそんな事を考えた事はなかった。自分が鉄平とセックスするのは下手な事をした時のリベンジポルノが怖いからだ。写真をバラまかれたくないから体を許して来た。しかしもっと深く自分の気持ちを思い出してみる。
(でも、今夜抱かれるって時、本当に嫌だったかって言うと…もしかしたらセックス出来る喜びが…、…、あったかも…。何だかんだ言って、私…拒まなかったよね…。嘘…、私、鉄平さんの事が好きだったの…?)
思い返せば、会社の他の女には下の名前でちゃんづけで呼ぶのに自分はCEOとしか呼ばれない事に感じた感情、他の女を抱いた噂を聞いた時にいつも感じた感情、それは…
(嫉妬…?私嫉妬してたの…?)
今思えばその感情を抱いた日の夜に必ずと言っていい程オナニーをしてた自分に気付く。
(私、鉄平さんが好きなんだ…。鉄平さんと結婚して…子供産んで…、休日には家族で一緒に出かけて…、仕事でもプライベートでも、公私ともども支えて貰って…)
自分の理想の結婚生活に鉄平を当てはめて想像すると、都姫は不思議なぐらいに幸せな気分になった。それは他の誰かではなく、鉄平でしかそんな気分にならない確信があった。
(私…鉄平さんの事が好き…、私、鉄平さんと結婚したい…)
自分の中のモヤモヤとした霧が晴れた気がした。都姫は自分の素直な気持ちがようやく見えた気がした。都姫は鉄平の瞳を見つめ、引き込まれそうになりながら言った。
「私は…、鉄平さんと…結婚…したいです…」
その言葉に迷いはなかった。その言葉を聞いた瞬間、鉄平はすぐに答えた。
「じゃあ結婚しよう。」
都姫も迷いなく答えた。
「はい…」
と。都姫の心は女の幸せと言うものに溢れ返っていた。