第二十八章 別れ-4
「でも、それ以上に・・・」
藤本さんの声が一段、高くなった。
「若槻さん御夫妻が参加されて・・・
本当に・・・」
感慨深い表情で、話を続けている。
「素晴らしかった・・・
興奮も・・感動も・・・」
僕と映見、かおりさんも目をキラキラさせながら聞いている。
「私の人生の中で、
最高のセックスでした・・・」
その言葉に僕達は素直にうなずいた。
「こんな最高の組み合わせはもう、
二度とありません」
波の音がBGMのように重なっている。
「これが、最後のスワッピングになるでしょう」
僕が声を出さなかったのは、薄々予感していたからだった。
「秋生さん夫妻も、
今回を最後にするそうです・・・」
太陽がまぶしいのか、藤本さんの両目が細くなっている。
「子供を作りたいと・・・」
「実は、僕達もなんです・・・」
僕の言葉に予期していたのか、驚きもせずにうなずいた。
僕と映見は朝の会話を思い浮かべた。