恋人から香る、親友の匂い-6
「あ、あぁっ」
声を出してしまい、思わず加奈子は唇を噛んで閉じようとする。
両手首を理央に掴まれているせいで、手を使うことができない。
「ん、んんぅ、んんっ」
顔を捻り、上げさせられた右腕に自らの顔を押し付けて、声を抑えようとする。
（気持ちいい……ずっと、欲しかった……！）
ぎゅっと目を閉じて、声を出さないようにしつつも、腰を振る理央に与えられる快感に身を任せている。
理央のほうは、必死で腰を振りながら、手首を掴まれて声を抑えている加奈子を見て、まるで加奈子をレイプしているかのような感覚に陥り、興奮してしまっていた。
中途半端に脱がされたパジャマが乱れ、声を出さないように腕に唇を押し付けている。
だが実際には、彼女から欲しいと懇願しているーー
振り続けている腰を最奥に押し付け、止めると、加奈子が体を仰け反らせる。
じわじわと快感が襲ってきているのか、ぷるぷると小刻みに体が震えている。
「ん、んん……いく…………」
静かにそう呟くと、辛そうに、下唇を噛んで、体を大きく震わせた。
どろどろと、結合部から体液が溢れてくる。
そこを結合させたまま右手で腰を抱いて、胸元に吸い付く。
ボディソープの匂いのする、洗いたての清潔な体を理央は自分の唾液で汚してしまいたかった。
「は、ぁ、……理央、気持ちいい……繋がってると、安心する」
ふふ、と笑う加奈子はまるで聖母のようなのに。
こんなにも淫らな姿で、理央を誘う。
理央は顔を上げて、両手首を掴んだまま、また激しく腰を打ち付け出した。
自分が彼女を汚し、支配していることに快楽を覚えているのに、彼女はこの行為に安心するという。
浅はかな自分の考えに嫌気がさすのに、実際には腰を打ち付けることで悦びを覚えている。
隼人にキスされても、理央のことを考えていたという彼女を独占したくてたまらない。
「ん、んん、んっ……」
吐息を吐き出す加奈子の腹に手のひらを当てるようにして、陰核に親指を這わす。
手首を掴む左手を、加奈子の腰にずらして支え、右手の親指で陰核にゆっくりと円を描きながらペニス抜き差しする。
「ぁ、あっ……」
強烈な刺激に加奈子が声を出した。
ようやく解放された手で口元を押さえるのを見て、理央は腰を打ち付ける速度を速める。
「ん、んんぅっ、理央…声が……っ、出ちゃ……」
ああ、出させてるんだ、メラメラと燃えるその支配欲から、そう言ってしまいそうになる。なのに、加奈子はこう言う。
「声、出ちゃ……から、キス……して、塞いで……っ」
口元を押さえながら小さい声で、一生懸命快感に耐えながら主張する。
加奈子には敵わない。
「加奈子」
理央は動きを止めて、加奈子の唇に優しくキスした。そうすることしかできなかった。
どれだけ乱暴に扱おうとしても、支配欲が襲ってこようとも、聖母のような彼女を前に、それはちっぽけな抵抗でしかないからだ。