序章-2
少女の脳裏に、男から聞かされた言葉が蘇る。途端に彼女の顔が青ざめた。
「どうしますか? 私の命令に従いますか?」
「ん、んんっ、んんっ」
少女は必死に首を縦に振る。男に従うという意思表示だった。
「素直ないい娘だ」
男はそう言うと、彼女の口に押し込まれた布を取り払った。そしてほかの男たちに次の指示を出した。
「薬を用意しろ。『排卵誘発剤』だ」
「はっ」
返事とともに、男たちは担当の持ち場に散った。
(排卵誘発剤!?)
少女に不安と恐怖が込み上げてくる。彼女はそれがどういう物か知っていた。以前に目の前の男から、詳細を聞かされていたからである。
排卵誘発剤――通常は不妊治療を目的にしたものだが、ここで用いられるのは全くの別物と言っても過言ではない。彼らが研究開発した、言わば「強制的に妊娠させる薬」である。これを用いることにより、少女の胎内の卵巣器官に強制的な排卵を促すのだ。
「この数か月の間、我々は貴女の身体を検査し、監視してきました。その内部までもです」
男が語りかける。確かに、少女は定期的な身体検査を受けていた。その目的はごく当たり前の健康管理という名目ではあったが、彼らの本当の目的は、彼女の肉体の生殖機能の管理だった。
「貴女の生理周期からすると、今日がまさに排卵日。身体が最も妊娠しやすくなっているはずです」
抑揚のない、説明的な口調で男は続ける。
「ですが、人間の身体はそう計算どおりに変化するとは限りません。精神的な要素もありますからね。そこで、さらに薬品を投与することで、排卵を確実なものにしようと言うわけです」
「そんな――」
少女は驚愕する。
男は本気だった。少女を見下ろすこの男は、本気で彼女を、確実に妊娠させようとしている。
程なくして、部下と思しきひとりの男が、医療用シリンジを用意してきた。針の付かない大きな注射器である。太さは直径50ミリ、長さは30センチ近くある。中には白っぽく、粘度の高い液体がなみなみと入っていた。
男は部下から注射器を受け取ると、再び少女の下半身、その開かれた両足の間に屈み込む。
「いやーっ! やめてえーっ!」
抵抗にはならないと分かっていながらも、大きく首を振る少女。
男は注射器のノズル部分を、少女の秘部のすぐ下、排泄器官である肛門に差し入れた。
「あうっ、そんなの、やめて!」
根本までノズルを差し込むと、男はゆっくりとピストンを押し込んだ。
シリンダー内部の粘液が、肛門の奥に流れ込んでいく。生温い感触が、少女の下半身に広がった。
直腸粘膜の吸収効率は胃壁の約三倍あると言う。薬品は口から服用するよりも、肛門を経由して腸の内壁から吸収させる方が、その効果は格段に早いのである。
男はシリンダー内の液体を全て注ぎ込んだ。
「はあっ……はふっ……んふ」
数分も経たずに、少女の息遣いが激しさを増していく。
(お腹の奥が、だんだん熱くなってくる……わたし、どうしちゃったの?)
白い肌が紅潮し、全身が汗ばんでくる。排卵誘発剤に調合された、催淫効果のある興奮剤が効いていた。
そして、その催淫効果により少女の秘部も熱を帯び、赤味を増してきた。彼女は膣奥からウズウズとした感触が芽生えてくるのを覚える。
「んあっ……んんっ……ああっ」
少女が身悶えるように腰をよじると、やがてその花弁の奥からは湧き水のように、愛液が滲み出てきた。それは肛門を伝わってベッドに滴り落ちる。肛門からも、腸内で吸収しきれなかった薬品が溢れてきた。
「どうやら身体の方は男を欲しているようですね。そろそろ頃合いでしょう」
男はゴム手袋外して手術着を脱ぐと、片手を少女の胸の膨らみに置いてその感触を味わった。彼女の性的興奮は充分に高まったと見える。白い肌は上気し、乳首も固く隆起していた。
「お前たちは次に私が呼ぶまで席を外すんだ」
彼がそう言うと、ほかの男たちは最敬礼をしつつ、部屋を出て行った。
室内はベッドに横たわる美少女と、それを見下ろす男の二人だけになった。
男はさらに着衣を脱ぎ始める。
「私の一族が代々味わってきた、長年の痛みと苦しみをようやく晴らす日が来た……その身をもって償ってもらう」
その目は、これから女を抱こうとする男の好色に満ちたものではなかった。悲しみと怒り、それらが入り混じったそれは、狂気をも孕んでいるようだった。
男は着衣を全て脱ぎ去ると、少女の開かれた両脚の間に腰を割り込ませる。そして彼女のまだ汚れを知らない、小さな処女の膣粘膜の孔に、おのれの分身の先端を差し挿れた。
「いやっ! いやあああっ!」
部屋中に、少女の叫び声が響き渡った。