BLACK BOXを守る者-2
「ご存知の通り、BLACK BOXは警視総監から警視総監へと引き継がれるものです。本来なら前総監、杉山氏からあなたに引き継がれるものでありましたが、杉山元総監はあの不慮の事故で急逝してしまい引き継ぐ事が出来なかった。それどころかあの飛行機テロでその行方が分からなくなり、引き継ごうにも引き継ぎようがなかった。」
「私が目にしたコピーは?あれは何の為に保管庫にあったの?」
「BLACK BOXが警視庁から紛失したとなると、いつかその存在が明るみになった時に色々と不都合が生じます。だからダミーでも警察内に存在していると言う、虚偽ですが事実を作る為に、元総監の加藤氏の強力のもと、らしい物を作りました。ただ実印は押せなかったし、ダミー書類に警視庁の承認印を押すわけには行きません。だからコピーと言う形で保管庫にて保管してました。ただあのような場所に置かれている事に私自信驚きました。私はしっかりと機密文書金庫に保管してたんですが、何者かがあのような目につきやすい場所に移したと考えられます。」
「誰が?」
「それは調査中です。」
「片山さんも内通者がいると?」
「はい。」
「そう…。そしてもう一つ、片山さんも誰かに指示されてBLACK BOXの管理を任されたんでしょ?」
「…」
「それは、誰??もちろんあなたより立場の高い人なんでしょうけど。」
「鋭いあなたはもうだいたいの察しがついてるんじゃないでしょうか?」
「フッ、まぁね。加藤総監の前の総監、東山大次郎氏じゃないの?」
「…」
「まぁ答えなくていいわ?それがはっきりしたからって大して捜査には影響がない。ただBLACK BOXの所在の流れだけは知っておきたい。娘を誘拐されて加藤総監が田口徹の手に渡った。そして田口から佐川健吾の手に。そして何者かによって佐川の手から警視庁に取り戻した。そこで飛行機テロがあり、それで所在が分からなくなった事までは予想がついてる。ダミーを作ったぐらいだから今の時点でBLACK BOXは警察の手にはない。」
「私もあの飛行機テロで消滅したと考えてました。だが半年前、BLACK BOXが高嶋謙也の手元にあると言う情報を得ました。その真偽を確かめる為に極秘に捜査を進めてましたが、BLACK BOXを盾に高嶋謙也が次期首相になり、日本を完全に支配しようとしている計画を知り、そこで初めて今、BLACK BOXは高嶋謙也の手の中にある事を知りました。ただ現時点までの調べでは、どうやら高嶋謙也からBLACK BOXを奪った者がいるらしいと。」
「高嶋謙也が奪われた…?じゃあ今、高嶋謙也も必死になって探してる、とか?」
「あなたを狙って爆発を仕掛けたのがその証拠だと見ています。」
「なるほど…。」
若菜は少し考え込んだ。