THE BLACK BOX-11
「なので今、BLACK BOXを佐川から取り戻した人物と経緯を調べているところです。」
「そっか…。で、BLACK BOXはあのテロで跡形もなく消え去ったの？」
「それも調査中ですが、ある情報によると、あの高嶋謙也がBLACK BOXを探していると言う話を耳にしました。探していると言う事はまだ存在している可能性があると言う事ですから、もしかしたらと。」
「何で高嶋謙也が？」
「目的は佐川と同じです。高嶋謙也は次期総理大臣を狙ってます。それを縦に総裁選を優位に進める為か、もしくは総理大臣になってから警察を自分の意のままにする為かは分かりませんが、どちらにせよその権力をより強固なものにする為なのは安易に想像がつきます。」
「ちょっと待って？そもそも何で高嶋謙也がBLACK BOXの存在を知ってる訳？私だって知らなかったのに。」
「田口徹だと思います。」
「田口？田口と高嶋謙也はグルだったって事？」
「いや、逆だと思います。」
「逆？」
「はい。田口徹はBLACK BOXに目を通したはず。その中に三億円事件の事も当然書いてあります。それを読んで脅したんだと思います。当時はまだ目立の社長をしてましたから、そんな大物が未だ犯人が見つからない事件の当事者だと知って脅したんだと思います。実際に何を要求したのかは不明ですが、田口が所持していた麻薬やお金は相当なものでした。その資金源の一部は高嶋謙也から脅し取ったものも含まれている可能性もありますよね？」
「そうね。田口の資金源はまだ解明されてないしね。」
「高嶋謙也は脅された件で得たものは、むしろBLACK BOXを手にすれば警察を掌握出来ると考えたとしても不思議ではありません。警察の保管から行方不明になったと知れば探しても不思議じゃありませんし。」
「なるほどね…。全て理にかなってるわね、そう考えると。」
「そしてもっと言えば、上原さんは捜査会議で警察の闇が記された極秘資料を読んだと発言してます。それが、考えたくありませんが内通者により高嶋謙也に伝わり、高嶋謙也は上原さんの手元にBLACK BOXがあると考えたんじゃないでしょうか。時効を迎えたとは言え自分が三億円事件の首謀者と公表されたら総理大臣になる夢は消えますから。」
「！？昨日の爆発はわたしを狙ったって事！？口封じに！！」
「の可能性もあるんじゃないかと。」
「くっそー！高嶋謙也っっ！私を殺そうとしたのっ！？あのクソ野郎！！」
「あくまで私の予想です。何の確証もまだないんで。」
そう言った彩香だったが、彩香の見立ては若菜を十分納得させるものであった。それだけ彩香の見立ては理にかなっていたのであった。