投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ヒジリ
【その他 官能小説】

ヒジリの最初へ ヒジリ 12 ヒジリ 14 ヒジリの最後へ

ヒジリ-13

『ねっ、もうイキっ、そうだよっ。』
「んっ、俺ももう限界っ。」
そんな会話で互いの同意を確認し、あたし達は“清め”の最終段階を迎えた。
『あぁっ、ふぅぁっ!あぁっあんっ!』
「くっ、んっ。はぁっ。」
もうこの瞬間に交せる言葉は無い。
2人は快感を声に変えて響かせ、そして互いを最上級の快楽へと導く。
『あぁっ、うあっ!ああぁっ、せっい…イクっ!!』
絶頂を味わったあたしは、これが最後とばかりに清を締め付けた。
それには清も抵抗せずに、己を解放した。


『んっ、はぁ。』
快感の強い波が去り、あたしの体は穏やかさを取り戻し始めていた。
「聖、腕みてみな?」
清にそう言われて腕を見ると、清が着けてくれた百合の紋章のブレスレットが外れていた。
『いつの間に?!』
そしてあたしはある事に気付いた。
『息、出来てる……。』
そう、ブレスレットがなければ、この家に張られた結界の中では息すら出来なかったのに。
あたしは今清にも触れる事なく、邪なものを拒む結界の中にいるのだ。
「よかった。」
清はそう言って微笑んでくれた。
それにあたしも応え、清に満面の笑みを返した。



あの出来事から2日後、気持ちも落ち着いたあたしは学校にいた。
いつものように授業は自主的に切り上げ、秘密の喫煙所で煙草をふかしている。
「またサボり??」
背後からそんな声が聞こえたが、あたしは振り向かない。声の主はわかっているから。
『あんただって。』
煙草をくわえたまま、あたしは言った。
「俺はいいの!将来は両親の後を継ぐって決めてんだ。だから学校の勉強は必要無し。」
『あっそ。』
あたしは興味無さ気に応えてみせた。
「冷て〜。こんなに将来有望な少年呪術師様をを邪険に扱って良いわけ?」
清はふてくされた様に煙草を取り出した。
『その将来有望な方に助けて頂いて、あたしは幸せ者ね!!』
そんな皮肉たっぷりなあたしの言葉を、清は軽く聞き流した。


あたしの“清め”が済んだあの後、制服を着た清は皇の役目を解いた。
皇の腕から自由になった淫魔は髪を振り乱し、怒りの形相を露にあたしに向かってきた。
結界の効果により体の自由を奪われ、畳の上を這う様にして近付いてきたそいつ。
本来の根城であるあたしの中に再び巣くおうと試みたのであろうが、それが叶う事はなかった。
淫魔が細い腕を目一杯伸ばし、畳に座り込んでいたあたしの喉元にその手が届こうとしている時だった。
〈いやあぁぁぁぁぁぁあああ!!〉
耳をつんざくような叫び声と共に、目の前にあった淫魔の姿はみるみる崩れていった。
〈おのれぇ!!この怨み、決して忘れぬぅっ!!!〉
最後には塵も残さず消滅した淫魔の声だけが広い部屋に響いた。


ヒジリの最初へ ヒジリ 12 ヒジリ 14 ヒジリの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前