エッチな動画を撮り放題-1
【エッチな動画を撮り放題】
空き地内にはアスファルトは途切れていたが、固められた地面には、未舗装路に弱いバイクでも安定感があった。
亨の横にナナが883を停め、車数台分の間を開けて、ヨシリンもニンジャを停車した。
途中、ヨシリンは得体の知れない者たちから逃げ出そうとも考えたが、動画配信者の好奇心が、その考えを抑えていた。
このグループの柔らかな雰囲気が、最悪の事態は強制しないだろうとも感じ取っていた。
(残りの変態一族が、どんな面してるか見ないと帰れないっつうの)
バイクを停めた位置を、少し離したのは、その変態一族と一線を引く意思の現れだった。
「ヨシリンさん、ごめんなさい。動画使えないですよね」
ヘルメットを脱ぎつつ近づいた彩花が、ヨシリンの脇に立って、真摯に頭を下げた。
「そ、そうね…」
この可愛い少女と、さっきの会話の内容が繋がらない。ヨシリンは戸惑った。
「なに言ってるの。使えなくなったのは、彩花が『おまんこ』って連呼したからでしょ」
後ろからの声にヨシリンは振り返った。停車したてのワンボックスカー、その運転席側のスライドドアの窓から、善良そうな主婦が顔を出していた。こちらも、今の卑猥な単語とは、雰囲気が繋がらなかった。
が、直後にヨシリンは目を丸くすることになった。スライドドアを全開し、出てきた主婦の下半身がすっぽんぽんだったからだ。
「ヒッ!」
むき出しの縦筋を前にヨシリンは固まった。
「おまんこ丸出しでごめんなさい。それと、さっきは突然会話に参加したこともお詫びいたします。彩花の母親の智美です」
上半身限定と、会話の前半部分をカットすれば、凄く清楚な雰囲気の主婦だった。
「そして、こちらはお隣の春ちゃんです」
智美の後ろから、全裸の春奈が飛び出した。
「ヒィーー」
目を見開くヨシリンに構わず、春奈が口を開いた。
「春奈です。こんにちわ。おっぱいとおまんこモロ出しでごめんなさい」
「春ちゃんは、見た目のとおり小柄の童顔だから、たまに高校生に間違えられるけど、後ろのおちんちん丸出しで座ってる翔くんの母親です。で、こちらが旦那さんの明さんです」
唖然とするヨシリンに、智美は次々と紹介し、最後に運転席の窓から顔を出す明を示した。
「もう1人、おまんこ丸出しの子が、助手席で顔を伏せてるんですけど、今のところ、顔出しNGなんです。この後の展開で紹介できるかどうかです」
「あっ、その子は顔を伏せたついでに、明くんにフェラチオしながらオナニーしてますよ」
「ぬぽっ。おまんこ丸出しの美奈でーす。おまんこびちょびちょでーす」
顔を伏せながら美奈は声だけ出した。
(やっぱり、この声、どこかで聞いたような)
ヨシリンの思考を妨げるように、レブルが到着した。
この状況に目を丸くしながら、結依はナナのバイクの横に停車した。
「結依さん、来てくれたのね」
ナナが嬉しそうに微笑んだ。
「ごめんなさい。あたし、あたし…」
ヘルメットを脱いだ結依は、ポロポロ涙を溢していた。
「大丈夫?」
ナナが頭を撫でながら優しく言うと、結依は「わあぁ」と泣きながら、ナナに抱きついた。
「カ、カオス…」
ヨシリンはつぶやいた。
泣いている結依を間近に見ようと、智美と春奈が近づいた。
「で、泣いてるこの人は誰?まさか、酷いことしたんじゃないでしょうね」
ヨシリンの言葉に、結依が反応した。
「酷いことなんてされてません!」
「えっ、あっ、ご、ごめんなさい」
結依の剣幕に、ヨシリンは驚きつつ謝った。
「い、いえ、こちらこそ、すみません。あたし、結依っていいます」
ヨシリンの問いに結依が答えた。
「あたし、人見知りで、男の人も苦手で、いつも1人なんです。今日は勇気を出して、ナナさんに声をかけたんですけど、逃げ出してしまって…」
「無理ないですよ。バイクのことで声をかけたのに、エッチなこと言われたんでしょ。普通の女子なら逃げて当然ですよ」
自分も思い当たる節のあるヨシリンは、結依の言葉に同感した。自分にしたって動画配信者のプライドで、辛うじて逃げ出さないでいるのだ。
「普通じゃないんです。あたし、人見知りのクセに凄くエッチなんです。いつも1人でエッチなことばかり考えてるんです」
「そうなの♪」
結依のカミングアウトに、ナナが喜んだ。