バイカーの憩いの場所、道の駅到着-2
「しょうがない奴らだな。まあ、初めから別行動の予定だから、こっちはちょっとコーヒーでも飲みながら様子をみようか。取り敢えずインカムを繋ぎ直そう」
ヘルメットを脱いだ亨は、装着したらインカムをヘルメットから外し、配線をイヤホンマイクに差し替えた。
「ん?ナナちゃん、どうした?ヘルメット被ったままで。ほら、インカム繋ぎ直さないと」
「と、亨さん、あたしも我慢できなくなってきたみたい。智ちゃんとこに行っていい?」
同じく車内の様子を聴いていたナナが、腰をモジモジと動かしていた。
「あたしも…」
横を見ると彩花も同じ動きをしていた。
「ダメダメ、せっかく格好よく登場をしたのに、車に乗るとこ見られたら、釣れるモノも釣れなくなるよ。ヘルメット脱いで我慢我慢。ほら、チラチラこっち見てるバイカーも居るんだから、2人とも、腰をモジモジさせないの」
亨が言ったとおり、ハーレー女子のナナと、若い彩花とタンデムした亨の登場は、結構目立っていた。
「ああん、意地悪〜」
4輪のドライバーとは違って、こんな場所に集まるバイカーは、趣味であるバイクを楽しむ者ばかりだ。なので、入場してくるバイクには、洩れなく視線を送り、気になるバイクが来れば、声をかけたりすることが多い。
これが入場してきたのがバイク女子だけだと、下心満載の男が群がってくるが、男女カップルのツーリングの場合は、純粋にバイクが好きな男か、男女カップルということで、油断したバイク女子が声をかけてくるのだ。
この日は、様子見のために来たのだが、あわよくばと釣果も望んでいた。もちろん、不発の場合は、予約した温泉宿に1泊して、スワップファミリーで楽しむ予定だ。
今回のナンパツーリングは、バイク女子を限定したのだが、このグループは男女を問わず女好きばかりなので、女性陣からの苦情はなかった。
また、新たに男を入れた場合、美奈のことを自慢気に話す者が出てくるリスクもあった。総じて、男はお調子者が多いのだ。
それよりも、ナナの『バイク女子は好きモノが多いかも』の発言で、より一層、女性陣のやる気が上がったのだった。
亨の言葉で目的を思い出した2人は、渋々ヘルメットを脱いだ。インカムをイヤホンマイクに繋ぎ換え、ポケットに容れたが、車内の様子を気にし過ぎるので、2人のインカムのスイッチは、戻るまで切ることにした。
「聴こえるか?」
『あん、あん、き、聴こえる、あん、あん』
亨の問いかけに、車内の智美は喘ぎ声で返した。
「取り敢えず、一旦、バイクから離れるぞ」
『ああん、翔くん、もっとおお』
スルーされた亨が、少し離れた場所に停まるワンボックスカーを見ると、激しく揺れているのがわかった。亨は苦笑いを浮かべた。
「やっぱ、我慢できない。ちょっとトイレ」
「ああん、ナナお姉さん、待ってよぉ」
ナナに続いて彩花も走り出した。
トイレに入った2人は、インカムのスイッチを入れて、車内の声を聴きながら、オナニーを始めた。
『と、亨さん、淹れて欲しいよぉ。あとでたっぷり淹れてね。はぁ、はぁ』
『はぁ、はぁ、お父さん聴こえる?あたしのおまんこも、お父さんのおちんちんが欲しくて、びちょびちょになってるのぉ、はぁ、はぁ」
呆れた亨はインカムのスイッチを切り、1人コーヒータイムを堪能した。
寡黙でダンディな雰囲気を背中に出していた亨。亨たちの登場を見ていた2人連れの女が声をかけようとした。亨が男女で来ていることも知っていたので、席を外しているハーレー女子との交流を求めてのことだったが、少し、亨の雰囲気にも惹かれていたこともあった。
しかし、タイミングよく、窮屈にテントを張った肉棒の位置を直そうと、亨がライディングパンツのフックを外し、チャックを下げようとしているところだった。解放された肉棒の盛り上がりと、下着の先の先走り液に気づいた2人は、そそくさとその場を後にした。
バイクあるあるだが、前述のとおり、バイカーは入場してきたバイクには必ず視線を向けるのが常だ。
しかし、そのバイクや人物に興味を持ったとしても、直ぐに声をかけない者も多い。一旦、オーナーがバイクから離れるのを待ち、オーナーが居ない間に、そのバイクのカスタムや、ツーリングバッグのメーカーなどをつぶさに調べる。
そして、ある程度、オーナーの人となりを予想するのだ。声をかけるタイミングは、オーナーがバイクに戻ってきたときだ。
この日は平日で、駐車場にバイクはそれほど停まって居なかった。知らないまま2人の獲物を逃がしていたが、幸いなことに、亨たちが戻ってきたときには、1人のバイク女子が釣れていた。