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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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 マイホームは地価がそこそこ高い街の建売住宅を買ったから、敷地ははっきり言って狭い。隣家との距離もわずかで、入居してしばらくは寝室の窓のすぐ向こうに隣家の窓が開いているのが気になったものだが、すぐに慣れてしまった。それでもお互いの窓のカーテンが開いていることはほとんどない。隣家から子供を叱る声も聞こえたりすれば、我が家の声もいろいろ聞かれているのだろうと思う。

 自家用車を買う金銭的な余裕もなかったし、そもそも停めておく場所がない。近くの駐車場を借りている人に聞くと、かなりの借料になるようだ。車ナシの暮らしにも慣れていたはずだけれど、歳を重ねてくると、駅前まで買い物に行くのが億劫になって車に乗りたくなる。ワンメーターくらいの距離ではあるけれど荷物がある帰り道にはたまにタクシーを使うこともある。隣家は我が家よりも敷地が広くスペースもあって車が停まっている。

 最近では車をシェアして使うケースもあるらしい。隣家の車はあまり使われている様子もないから、たまに使わせてもらえたらいいのに…などと思ってしまう。とは言え、夫もわたしも運転免許証は持ってはいるものの、身分証明書がわりに使うくらいでずっとペーパードライバーだ。隣家の奥様は気のいい人だけど、いくら隣人でも運転の腕前も不確かな者に自分の車を貸すとしたら、心中では決していい顔をしないだろう。

 隣家のご夫婦は、我が家と年恰好もほぼ同じ。奥様はわたしより数歳年上という感じ。ご主人は海外に単身赴任していてもう数年になる。十数年前にも同じようにご主人が海外に行っていたことがあった。その頃の話だけれど、ごみの回収日の朝などたまに外で会ったりしたときに、一瞬、強い視線を感じるときがあった。顔は穏やかだけれど目の奥が笑っていないとでも言うのか…。隣家の住人として何か迷惑をかけたりしたのではないか自問自答せざるを得なくなるような…。

 家に戻っていろいろ思い返してみるけれど特に思い当たるふしもない。そう言えば、ご主人はしばらく家に帰っていらっしゃらないのね…と気付く。

 (お宅は旦那様が家にいらっしゃって羨ましいわ)

 隣家の奥様が問いかけてくる。

 「羨ましい…?。どうしてですか?」
 「いやね。意地悪おっしゃって。そんなこと言わせないでちょうだい」
 「え…? あ…、もしかして…」
 「そうよ。そのことよ」
 「あぁ…そのこと…」

 隣家の奥様は完全に我が家のことを勘違いしている。夫が家にいないならまだしも、我が家は夫は家に居るけれどずっとセックスレス…。日夜自分で慰めているだけ。今だって、まだまだモヤモヤしたままの自分の身体を慰めようとしているのに。

 「まあ、奥様も…自分でなさってるの?」
 「ええ…。もうずっとそんな感じです」
 「それはお辛いわね…。わたし、奥様さえよければ、ウチの人が帰国するまでご主人をシェアできないか…って相談しようと思っていたのに」
 「そんな風に見えます? もう全然そういうことには興味がないみたいで、なんのお役にも立たないですよ」

 わたしは苦笑いをするだけ。奥様はホッとしたような表情をされて、目の奥の険しい光も消えたようだ。でも、今度は、今まで見たことのないような眼の光を見せてくる。

 「ねえ…奥様?」

 声を潜めてにじり寄ってくる隣家の奥様にわたしは緊張する。

 「わたしたちでアパートでもシェアしません?」
 「アパート…ですか?」
 「ええ。わたしね、かねがね自分だけの秘密のお部屋を持ちたい…って思ってたんですけど、一人じゃなんだかつまらないし…」
 「アパートのお部屋をシェアして…どうするの?」
 「また、もう…。意地悪おっしゃって。そんなこと言わせないでちょうだい」

 隣家の奥様が顔を赤らめて、さっき聞いたようなことを再び口にする。

 「だから…あなたとわたしでお部屋をシェアして…好きなことに使うのよ」
 「好きなこと…ですか?」

 大方話の察しはついてはいるのだけど、自分から口にするのははばかられるから、わからないようなフリをしている。隣家の奥様も、わたしがわからないようなフリをしていることは見透かしているようではある。

 「大丈夫。わたしレズではないから。でも奥様さえよかったらいつでも」
 「えっ? あ…わたしもそういう趣味は…とりあえず」
 「いざとなれば…だけれど、それならわざわざお部屋を借りなくてもよろしいじゃない? お互い昼間にお家を行き来すればいいんだから…」
 「そうですよね…」
 「わたしは、あくまでも男とセックスしたいの。あなたも…そうじゃなくて?」

 単刀直入に問われた分、逃げ場もなくわたしも首を縦に振る。

 「やっぱりそうよね? わたしたちぐらいの女だったら当然のことだと思うの。でも、どこかの男を自分の家に連れ込むわけにはいかないでしょ?」
 「…そ、そうですね」
 「だからお部屋を借りるの。それでお部屋でいろんな男とセックスするの。いい男が見つかったらその男もシェアしてもいいじゃない?」
 「奥様がそんなことを考えていらっしゃったなんて、全然気が付きませんでした」
 「当たり前よ。こんなこと想像するだけでも恥ずかしいわ。ましてや他人に打ち明けるなんて。でもうれしい。想像するだけでも恥ずかしいことを貴女とシェアしていただいて。わたしこそ貴女の気持ちに全然気が付いていませんでした。もっと早くわかっていればよかったのに。時間がもったいなかったわ」

 隣家の奥様が(こんなこと想像するだけでも恥ずかしい)と言い切るようなことをわたしは妄想している。人様に言えるはずもないようなことを隣家の奥様も考えているという自分のお手盛りな妄想…。そんな妄想を繰り広げながら愛液を飛び散らせて自慰を終える。窓の向こうの隣家のカーテンは今日も閉まったままだろう。


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