佐久間亨の憂鬱Bー番外編-5
木綿子の背中を強く抱く。
そして左手で木綿子の肩を引き寄せ、唇を奪う。
この唇が、舌が、他の男に這うのを絶対に許したくなかった。
だからーー
「遠月さんが他の男に触られてるだけでも嫌だから……誰にも取られたくないです」
「ーーそんなこと、思ってくれるの?」
ふふっ、と木綿子はいたずらっぽく笑う。
そして木綿子はカチャカチャと音を立ててベルトを外し、スラックスのジッパーを下ろすと、早く飛び出たそうなペニスを少しずらしたボクサーパンツから取り出してやる。
「と、遠月さん……!」
いきなりそれを咥え、木綿子は激しく顔を動かし出す。
少し乱暴なその動きに驚きつつ、亨はぎゅっと目を閉じて、快感に身をまかせる。
細長い指と、ねっとりとした舌が絡みついて、強制的に感情が昂らされ、血液がそこに集中し、脈動する。
成熟した女性のその行為がーーいやらしくてたまらない。
「あ、ぁ……遠月さ……んっ、待って……そんなにしたら、口のナカに、出ちゃいます……!」
「ん、ちゅ……」
その声を聞いて、木綿子は顔の動きを止めて唇を離す。
だがしかし、細長い指は絡ませたまま、ゆっくりと動かして、亨を見やる。
そのうっとりとしたいやらしい表情に、亨は目を血走らせずにはいられなかった。
「遠月さんの、口のナカに……出したくない……」
亨は右手を差し出して、震える指先で木綿子の頬に触れる。
前回のように八つ当たりするようなーー彼女をただの性欲のはけ口にしたくなかった。
咄嗟にそう思った。
「お口は……嫌……?」
木綿子は唇についた唾液を手の甲で拭って、そう言う。
「ち、違うんです……。だ、出したいけど……そりゃ……。ただ、出すだけなのは……嫌です」
「ふふ、嬉しい……。でも佐久間くんは、あたしがどんな気持ちで……急にオチ×チン、しゃぶったと思う……?」
耳元にそっと唇を寄せて、木綿子は言った。
ーー佐久間くんのこと、あたしも誰にも取られたくない、って気持ち。同じだよ。
どきん、と亨の胸が高鳴る。
「お、俺は……佐藤とか、遠月さんみたいに、そんな、モテるタイプじゃ……ないですっ。取る人とかいませんっ」
下半身を露出させた、情けない姿で顔を真っ赤にして亨は言う。
思わず木綿子は笑ってしまった。
亨は恥ずかしくなって立ち上がり、木綿子の手を引っ張り、ベッドに押し倒した。
木綿子の服を全て脱がせ、自分も生まれたままの姿になると、木綿子の体を抱きしめる。
細くて、だがむっちりとした太ももに自らのペニスをこすり付け、早く入りたいと主張する。
「佐久間くんの、エッチ。あたしの体のことばっかり考えてるんだ、こんな押し付けて。うちの後輩と……同じ?」
「違う。俺は……」