お目見え、そして対決-1
【お目見え、そして対決】
数日後。
「どうしても、弟も同席させねばならぬのか?」
絶頂波に堪えた後、お満を犯すつもりの吉宗が、天井に向かって問いかけた。
「はい、あの秘剣は、どうやら親族が揃って為せる技のようです」
吉宗の問いにお露は即答した。多分、竿之真抜きでもできると思うが、ここしばらく観察しているうちに、お満は竿之真が傍にいなければ、何をしでかすかわからない事がわかっていた。吉宗に失礼があってはならないが、それとは別の思いがお露にはあった。
「亀立藩主裏筋棹守(さおのかみ)実正殿以下、配下2名が到着です」
御側御用人(おそばごようにん:老中達が勝手気ままに将軍に会えないように設けた役人。将軍に通すべきかを判断をするできる人物)が伝えた。
「入れよ」
襖が開けられると、廊下に平伏する3人が目に入った。
「皆の者、遠慮いたせ」
事前に指示を受けていた御側御用人を含め、小姓や太刀持ちも部屋から出ていった。それを待ってから吉宗が声をかけた。
「苦しゅうない。面を上げて近うよれ」
「あい」
直ぐに顔を上げようとしたお満を慌てて抑えた竿之真は、藩主に倣って少しだけ顔を上げた。これは、将軍の威光に圧されて、まともに顔を見る事ができませんという儀礼だった。このままの状態で面会を済ます者も居れば、更に数度のやり取りで顔を上げ、拝顔できる者も居る。しかし、吉宗がそんな形だけの儀礼を喜ぶはずはなかった。
「竿之真、そんな儀礼は無用ぞ!お敏を見習え」
「へっ?」
将軍からの名指しの驚きで、顔を一気に上げてしまった竿之真だったが、目に映ったモノを見て更に驚いた。
全裸のお敏の霊が、吉宗の前でぷかぷかと浮いていたからだ。
『あれ?上様、私が見えるのでございますか?』
「ああ、なにやらきょろきょろしていたが、珍しい物でもあったかの?」
『ご、ご無礼いたしました』
お敏は慌てて平伏した。しかし、最近の癖で、その形はお敏が独自に確立した姿勢だった。踵を尻から外にずらして、尻をぺたりと床に付ける形なのだが、それが宙に浮いているため、卑猥な割れ目がもろに見えるのだ。
「ほほう、平伏した女のソコはそのように見えるのか」
見せる興奮を覚えたお敏は、吉宗の言葉に喜んだ。更に肉体による現世と関わりの薄い能天気さも相まった。
『そうなのです♪こうすると、尻の穴まで見えまする』
平伏の体勢を維持したまま女体を引き起こし、気前よく割れ目を晒した。
これには、肉体を持ち、現世に縛られている竿之真の血の気が引いた。
「は、母上!上様になにを見せておるのですか!!」
しかし、同じく肉体を持つお満は少し違っていた。
「やだ、母上だけずるい…」
母親に倣って淫乱さに目覚めた娘は、悔しそうな表情を浮かべた。
隣で声を大きくした竿之真に、藩主の裏筋実正が驚いた。
「こ、これ、竿之真、わきまえぬか」
「しかし、母が…」
竿之真が吉宗の頭の上を指差した。その指が示した先は、にやにやと笑う吉宗の視線の先と重なっていた。