女らしく【19】『終幕と終劇と終演』-1
昔、オレの世界はとても暗かった…
けれど、今は違う。
オレの隣りでは、一つの光が道を照らしている。
「久しぶりだな、みんなに会うの♪」
「そうだな、何年になるんだ？」
「えっと…卒業してから３年だな」
オレ達が学園を卒業してから、すでに３年の月日が経った。
今日は久々にあの頃のメンバーで集まることになった。
集合場所は学園寮。学園側にも了解をとっている。
「撫子さんはまだ寮母やってんのか？」
「ああ、意外にハマったらしくて。もうすぐ三十路なのに婚期を逃すと思うんだが…」
大和が溜め息混じりに言った。
「撫子さんらしいや♪」
「まあな♪」
そうこうしてる間に学園に着いた。変わることなき校舎。ふと見ると、理事長室に老人の姿があった。
驚いて目を擦るとそこには影も形もなかった。
「…嫌な記憶が甦っちまった…」
一人ごちた、その時。
「あっ！マコトさーん！」
ぶんぶんと手を振る女性。今は髪をストレートにしているが、間違えなくミリィだ。横では、博士が煙草を吹かしていた。
「オッス！久しぶりだな、ミリィ♪」
「ご無沙汰です♪」
「久しぶりデース♪マコト、アーンド大和♪」
「相変わらずだな…博士…」
口から煙草を外した博士が笑みを浮かべる。
瓶底と白衣も変わりない。
「今、何やってんだ？」
「科学省で公僕やってマース♪」
「マジか！オレ達は環境省だぞ！結構、近かったんだな！」
「環境省ってことは陰陽連デスカ？」
「そだよ、ちなみに奏と晴樹も一緒」
ドドドド…
背後から凄まじい音がして何かが近付いて来る。
まあ、何かは分かってるんだが…
「おぉ〜ねぇ〜えぇ〜さぁ〜まぁああああああああああああああああああ♪」
ヒョイと身体を横に逸らす。そのまま、声の主は茂みに突っ込んだ。
「久しぶり、詩乃」
「お久しぶりです！お姉様♪」
詩乃が茂みの中から勢いよく顔を上げた。
「変わらねえな」
思わず苦笑が零れた。
「当たり前です！私のお姉様への愛は変わりません！ああぁ〜ん…会いたかったですぅ、お姉さまぁ〜ん♪♪」
相変わらず…詩乃は詩乃だ。