幽霊と一緒〜文化祭編〜-3
一方の零は……
家に一人きりだった
ポツーン
今の状況をマンガやアニメでよく使われる効果音で表わすのなら最もこれが正しいだろう。
しかし僕にとってこの孤独は苦しいものやマイナス的なものではなく、あの3人から逃れられる数少ない“憩いの時間”だ。
脳内で愚痴っても仕方ないが……
ふと時計を見るとすでに昼時。さすがに昼食を抜いて残り半日を過ごすのは無謀なのでエネルギーを得るためにキッチンへ向かう。
「なんだコレ?」
キッチンへ辿り着き思わず発した言葉がこれだ。
そこには調理器具、食材、そしてなぜかお菓子が散乱していた。
目を背け簡単に頭の中を整理してみる。
朝食を作ったのは璃逢か疾風だし、その後は璃逢がパン一切れを持ってきただけ。
犯人はあの二人に絞られた。そして分かったことは「死神や幽霊を台所に入れてはいけない」ということだ。
勇気を振り絞りそっと目を開け目の前にある現実を見る。
「なんだコレ?」とまた言ってしまった。
しかしキッチンはひどいものとなっていた。以前、設けられた“酒宴”の時より増している。
日が沈んだ夕方
璃逢と疾風の二人が帰ってきた。
するとリビングに入ったとたん
「ただいま〜♪」
「ただいま〜♪」
せーの、と璃逢が合図をとり
「た」
「だ」
「い」
「「ま〜〜〜♪」」
異常な程ハイテンションで帰宅を告げる二人。
「……おかえり」
小さく応える。
正直僕にはこの二人についていくテンションは持ち合わせていない。
平常時にも対応できないのにキッチンの後始末に疲れた僕に対応できるだろうか?いや、できはしない!
しかしこの二人がいつにも増して元気なのが気になるが。
「あ、そう言えばさ〜」
ソファーに座り璃逢が口を開いた。
「何?蒼氷がとうとうストーカー行為に走ったか?」
冗談を含め返事をすると疾風から思いがけない言葉が返ってきた。
「そう、だから相談に……」
な、何だって!
「こらこら疾風、嘘をつかない」
あ、嘘か……
「明後日が文化祭らしいから」
………
……
…
へえ、文化祭は明後日か。じゃあ準備するのは明日しかないな。間に合うかな?などと零は呑気に考えていたがようやく我に返る。
「はぁ!?」
立ち上がり声を上げる。
「零、うるさい」
コーヒーを運びながら疾風が文句を言う。カップが二つなのが気になるがそんなことはどうでもいい。
「で、内容は?」
これがわからないと何もできない。
「教室を使っての出し物よ」
璃逢がコーヒーを飲みながら答える。
疾風もコーヒーを飲んでいる。やはり僕の分は無いのか……
「僕達のクラスは何をするんだ?」
「オバケ屋敷!」
疾風が親指を立てて威勢よく返事をする。
「そして明日は朝から夜まで準備!」
璃逢も同じように返事をする。
僕は思った。
「この学校はメチャクチャだ」と