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『Game of M』
【ミステリー その他小説】

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『Game of M』 第2話-2

「澤村君、ちょっといいかな?」

(はぁっ… またかよ…)

 掛けられた女性の声に渋々この上ない気持ちで振り返ったが一瞬、翔吾はさっきとは別の意味で押し黙ってしまった。

振り返った翔吾の視線の先にはゲーマーばかりが集うこの会場には恐ろしく不似合いなスーツ姿の美しい女性が立っていた。

「はあっ?」

翔吾はまた素っ頓狂な声を上げる。

「君、澤村君よね?さっきの試合、私も見てたわ、おめでとう」

 緊張のあまり翔吾は直立して返事をする。

「あっ、ありがとうございます…」

「私は『佐伯 加奈』SBFを開発したルアール社の者です」

ルアール社はSBFのおかげで今や世界的な大企業だ。

(なるほど、大会の関係者か)

道理でこの会場に似合わない筈だ。

彼女は高価そうなパンツスーツを完璧に着こなし、少し脱色した髪をアップで束ね、眼鏡をしていた。

(美人数学教師…)

 そんな表現が正にピッタリだ。

「澤村君、ちょっと時間あるかしら?お話したいことがあるんだけど?」

「えっ?あっ…はい…大丈夫…ですけど…」

彼女の雰囲気に圧倒されている翔吾は拒否など出来るわけは無かった。

「良かった。じゃぁ、付いてきて話は会議室で」

「はっ、はい」

彼女の後に付いて歩くとスタッフオンリーの札の掛かった部屋に通された。

 扉を開けて中に入ると、

「おっ!澤村君♪また会ったね!」

さっきと同じで流暢な日本語を操る外国人アレクがいた。

「あっ…アレクさん」
「アレクでいいって♪俺も翔吾って呼ぶけどいい?」

「いいよ」

部屋には机と椅子が3組向かい合うように設置してあり、その内の一つに翔吾は腰を下ろした。

「さてあなた達に相談なんだけど…」

加奈も椅子に座ると早速話を始めた。

「あなた達にうちのゲームのモニターをお願いできないかな?」

「「モニター?」」

 翔吾とアレクの声がハモった。


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