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ハツミ
【OL/お姉さん 官能小説】

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ダイチ 〜4th story〜-6

―彼女に悪い事を言ってしまったのなら、きちんと謝らないと!―

そう頭の中がまとまりかけた時、俺の葛藤は突如遮られる事となった。
「嵩原店長!!本店の三枝さんからお電話です!!」
声の主は店のスタッフである小室であった。
『えっ?電話?!』
……なんて悪いタイミング。
彼女に話を切り出そうと決心した途端にこんな展開、あって良いのだろうか。
「あ!長々と仕事の邪魔しちゃってごめんね。棗、そろそろ帰る。じゃぁ!」
タイミングの悪い電話をきっかけに、彼女は店を後にしてしまった。
なんだか頭の中がモヤモヤする。
頭の中から彼女の事が離れない。
俺は小室から受け取った電話の受話器を塞いだまま、その後ろ姿を見送った。

『お待たせしました、嵩原です。』
そして彼女の姿が見えなくなると同時に、俺は仕事に戻った。
だが、彼女の少し辛そうな笑顔は頭から離れないままだった。


彼女が店を後にしてから数時間が経ち、早番の俺は空が暗くなり始めた頃店を出た。
『じゃぁ、後よろしく頼むわ!』
結局、仕事が終わっても彼女の事は頭を離れない。

「お疲れ様!!」
『えっ?!』
一瞬、俺は自分の耳を疑った。
それはこの場所で聞くとは思ってもみない声が、俺の耳に届いたからだ。
『棗ちゃん?!』
この場所はとあるショットバーの前。
そして声の主は、先程の制服姿からうって変わり、大人の色香漂う私服を着た棗だった。
「待ってたんだ。」
彼女は挑発的にも思える笑顔を浮かべ、ゆっくりとそう言った。
『待ってたって…俺を?』
そう尋ねた俺に、彼女は黙って頷いた。
先程店で会った時の何処か空虚な笑顔は消え、その表情はいつも通りの彼女だった。
「仕事帰りに1パイいかが??」
言葉の語尾には〈?〉クエスチョンマークが付いていたはずだが、彼女は俺に選択の余地を与え無かった。
返答を待つ事なく俺の腕を掴み、俺をショットバーの中へと引きずり込んだ。
『ちょっとちょっと!?いいのか未成年!』
俺の腕を引き、店の奥へと進む彼女に俺は言った。
「しぃっ!!余計な事喋らなきゃ誰もあたしを未成年には見ない!」
彼女の容姿のせいか、それは妙に説得力のある言葉だった。
カウンターを避け、奥のテーブル席に座った俺達は、それぞれチェリーブロッサムとジントニックをオーダーする。
「店以外の場所で会うのって初めてだね。」
『そう…だね。』
彼女の真意をはかりかねていた俺は、戸惑い気味に答えた。
だが本当は、戸惑いよりも緊張の方が大きかった。女の子とバーで2人っきりという只でさえ緊張するシュチュエーションな上に、その相手は俺にはもったいなさ過ぎる美人なのだから。
「さて、ダイチ店長の人生、たっぷり語ってもらおうか。」
綺麗なピンク色をした液体の入ったグラスを手に、彼女が言った。
『もしかして……、俺の話を聞く為に待っててくれたの?!』
「そう!昼間はゆっくり話せなかったから。」
俺は彼女の優しさを、心から嬉しく感じた。それと同時に、俺の言葉のせいで彼女に何か不快な想いをさせたであろう事を申し訳無く思った。


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