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ハツミ
【OL/お姉さん 官能小説】

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ダイチ 〜4th story〜-2

「実はね、嵩原君とはちょっとした知り合いだったの。本当はトモキのスタッフカードを見た時から気付いてたんだけど、ちょっと驚いてもらおうと思って内緒にしてたんだ。」
確かに、俺の勤める総合アパレルショップのスタッフ全員が持つスタッフカードになら、店長である俺<嵩原 大地>の名が印字されている。それを彼女が見ていたのなら、俺と霧島関係は容易に知れたであろう。
「マジ??ホント驚いたよ!?」
『驚いたのは俺の方だって!!まさか霧島の恋人が葉摘ちゃんだったなんてさ。』
この時俺は、2人を心から祝福してやりたいと思った。俺がこれまで出会った人間の中で、最高に気の良い男と、最高に素敵な女が惹かれ合った事に不思議な因果を感じながらも、それは素直に嬉しい出来事なのだから。
「で、2人は何処で知り合ったの??」
そう言う霧島に対し、俺と彼女は口々に説明を始めた。


彼女、音宮 葉摘<オトミヤ ハツミ>との出逢いは今から約6年前、俺が入社したての20歳の頃だった。
新しい生活に戸惑いながらも、念願だった服飾販売の仕事に励んでいた俺に、ある日雑誌取材の話が舞い込んで来たのだ。
取材は俺の働く《Cool Glare!》の商品と販売員の特集。なんと俺が店の商品と共に雑誌に載ってしまうと言うのだ。

撮影当日、俺は見慣れない照明やカメラに圧倒され、ガチガチに固まっていた。
こんなんじゃ撮影や取材は無理だろうと周りが考えた中、俺の緊張を解いてくれたのが、雑誌社のモデルとして撮影に参加していた、当時19歳の葉摘ちゃんだったのだ。

「ちょぉっと待って下さいよ!」
これまで黙って話を聞いていた霧島が、慌てて口を挟んだ。
「ハツミが雑誌モデル??それも初耳なんですが!!」
『まぁ、黙って聞けよ。』
そう霧島を黙らせ、俺は話を続けた。

店の服を素晴らし過ぎる程に着こなした彼女は撮影直前、俺にこう言ってくれた。
「とっても良いお店ですね。こんな素敵な服を売っている事に自信を持って下さい。」
その一言で、俺は本当に救われた。
自分の働く店を誉めて貰えた事や、彼女の強い眼差しが、俺に自信を持たせてくれたのだろう。
そして先程までの緊張は嘘の様に消え、俺はなんとか無事に撮影と取材を終える事が出来た。
それを期に、俺と彼女の交流が始まったのだ。
まぁ交流と言っても大した事はなく、店に買い物にきた彼女と軽くお喋りをする程度だったのだが。
だが俺と彼女の交流は、彼女の短大卒業を期に形が変わった。
彼女は卒業と同時に専属で所属していた雑誌のモデル業をきっぱりと辞め、その雑誌のヘアメークとして働く事になる。
そしてその後、嬉しい事に彼女は雑誌の撮影の度に何かしらうちの店の服を使ってくれる様になったのだ。
そのお陰で店の知名度も格段に上がり、彼女にはどんなに感謝してもし足りない。
その間、俺と彼女が顔を合わせる機会も増え、親しさも以前に比べれば増した様な気もする。
だが、俺と彼女の関係は再び形を変えた。
1年のヘアメークの仕事の後、彼女はネイルデザイナーに転職したのだ。
その為、彼女が店に足を運ぶ機会もめっきり減り、俺は少しの寂しさを覚えた。だが、
「やっとやりたい仕事が見付かったの!」
そう笑顔で話す彼女を、俺は遠くで見守る事に決めた。
そして、彼女が好きだと言ってくれたこの店を彼女に負けない位素敵な店にしてみせようと思った訳だ。
まぁ、それ以上の関係にこそ発展しなかったものの、俺は色々な意味で彼女を尊敬している。


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