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女らしく
【コメディ 恋愛小説】

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女らしく【17】『霊剣と妖刀とすれ違い』-7

「大和が謝ることじゃねえよ…」
「いや…俺はまだ答えが出せていない…でも」

大和が真っ直ぐな瞳でオレを見た。

「でも、これが終わったら絶対に答えを出すから。後少しだけ、待ってくれ」

黒い双眸は強く輝いている。
オレは立上がった。宵闇を地面から抜き、大和に手渡す。

「…約束してくれ。どんな答えでもいい…これが終わったら絶対に…」

その言葉に大和はコクリと頷いた。

目を瞑り、下腹部に力を込め、フッと一気に息を吐く。
全身に力が漲る。今、為すべき事が何か、認識した。

「…行こう!」

チンッと刀が鞘に納まる音がした。

「…ああ!」




佇む廃倉庫は夜の闇の中で不気味な雰囲気を醸し出している。

此所に来るまでにぶつかりあう音が響いていた。

「博士!ミリィ!詩乃!」

倉庫の外には腕をダランと下げたミリィが博士に支えられていた。
同じく詩乃も足を負傷している様で、白い包帯が暗闇で目立っている。

「状況は?」
「中で稲荷と奏達が交戦中デス」
「ミリィと詩乃は大丈夫なのか?」
「ミリィは両肩のパーツが破損、詩乃は足を斬られたタメ、戦線離脱させてもらいマシタ」
「すみません…お姉様…」
「ごめんなさい…」

ミリィと詩乃が弱々しく謝った。

「大人しくしてろよ…今、片付けて来るから」
「…はい!」

詩乃達を後にして、倉庫の中へと入ろうとする。

「マコト!敵は幽霊じゃアリマセン!」

博士がミリィを支えながら叫んだ。

「どういうことだ?」
「多分、禍暁の正体は憑喪神デス。後、アレの妖気に当てられて、倉庫内の物が憑喪神になってマス!気をつけてクダサイ!!」

憑喪神…長年を経た物品は妖霊と化し、夜な夜な動き回るという。

「分かった!」
「マコト…いい顔になりマシタネ♪」

オレはクスッと笑うと大和を促し、倉庫内に入っていった。

入るとすぐに壊れた机がガタガタと動き、オレ達に向かって来た。
それを振り払い、戦闘音が聞こえて来る奥の方へと走っていく。

そして、一番奥では奏と晴樹が机などの憑喪神を蹴散らし、稲荷が禍暁の刃と対峙していた。


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