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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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ホクロ-1

 密会の相手と別れて家路につく。せっかく街に出たのでデパ地下に寄って食材を求める。ショーケースを眺めながら歩いているとふと鶏のから揚げに目が留まる。

 子どもの頃、たまのご馳走に鶏のから揚げを食べたことを思い出す。部活動で激しくカラダも動かしていた次姉がいちばん食欲が旺盛だった。

 「のんびり食べとるとみんな△子が食べてしまうで」

 母も箸を伸ばしながら笑っている。

 この前実家で姉たちと顔を合わせたとき、そんな思い出を話したら二人の姉たちも懐かしそうだった。

 「お母ちゃんがいちばん張り切ってたもんな」

 次姉が言う。

 「あら、そう? △子姉ちゃんがいちばんもりもり食べてたじゃないの」
 「そりゃ、いちばん量は食べてたかもしれんけど、そもそも、唐揚げを食事に出すかどうかはお母ちゃんの考えひとつやないの。あんたわかってなかったん?」

 次姉がわたしの顔を不思議そうに覗き込む。長姉もおかしそうに黙って笑っている。

 「なんにもわかってなかった…。そういうことだったんか…」

 おしゃべり好きな次姉の丁寧過ぎる解説をきけば、唐揚げが食事に出た日の夜は決まって夫婦の睦み事があったとのこと。頼まれると土建屋さんの手伝いのようなことをしていて数日間家を空けることもあった父が帰ってくる日。我が家は鶏のから揚げが出てきたのだと。母は昼間から風呂を沸かして、身体を綺麗にして父を待っていたのだと。

 夫が出張で数日振りに帰ってくれば、ウチでもその夜は求めあったものだった。結婚してしばらくは…。子どもも生まれて夫も仕事が忙しくなってくると、いつしかそのようなこともなくなってしまった。

 「男は歳を取るとだめやな」

 次姉が苦笑しながらつぶやく。どういう意味かしら…まあ、なんとなくわかるけど。しばらくして長姉が応える。

 「そやね」

 なんとなく二人の姉の視線を感じる…(あんたんとこもそうやろ?)。

 (そりゃあウチだってそうやわ。ひょっとしたら姉ちゃんたちよりずっと早くそんな感じになってたかもしれんよ…だから…)

 「だから…ねぇ?」
 「そやね」

 次姉が長姉に話しかけ長姉も応える。

 「なんかいややわぁ、姉ちゃんたちだけでなんやら…」

 そう言ってはみたものの(あんたはいつもそうカマトトぶってるんだから…)という空気になる。

 「△子の言うとおりではあるんやけど…」
 「…って何?」

 長姉が空気を変えようとしてくれているようで助かる。

 「鶏肉、家に売りに来てたオッちゃん、覚えてる?」
 「ああ、禿げたオッちゃんやろ…バイクに鶏肉積んでな。…え? へえー…」

 次姉も知らなかったことを長姉は知っていたようだ。次姉はひどく感心したように深く息を吐く。


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