夢魔-6
玄関から入ると他の人を起こしてしまいそうなので、庭から直接、離れへ連れて行くつもりでした。
まずソラを塀の壁に立てかけます。倒れそうになる前に、通用門を開けていると、横からもたれかかってきました。
「もう、ソラ。しっかりして」
「しっかりしてるぞ。トア」
あたしは腰が砕けそうになります。
≪ここで先生の名前? ソラは私だとわかってくれてない≫
「もう、酔っ払い」 タクシーの中では、こいつはただ酔いつぶれていただけのようです。
いろいろ考えていた自分がバカみたいでした。
「あんたのヒメなんかじゃない」言ってやります。
「そう、俺がおまえのものなんだ」手を握り、キスをします。そのまま二人で壁にもたれかかります。
≪うそでしょ。もう、誰のものかなんてどうでもいいや≫ ずっとキスをしていました。
どちらも動こうとしません。
ソラは脇から腰へ手を滑らせます。まるで恋人を愛撫するようにです。
あたしは肩から。頭へ手を伸ばしてかかえ込みました。
ソラはあたしを壁に追い詰めると。腰から胸へと手を滑らせ。さわってくれました。
≪そういうことなの?≫ 自分からももっとキスをせがみます。
ひざの力が抜けそうです。 ≪どうでもいいや≫ ソラを惑わそうかと考えていた自分が馬鹿らしくなってきます。
≪惑わさなくても、こんなに引かれ合ってるんだ。このままやってしまえ≫
足の間にソラのひざが入ってきました。服の中に手が伸びてきます。
家の前でへんな事になりそうです。≪それも、どうでもいいや≫ ソラの股間に手を当てました。
≪味わいたい≫ チャックを探ります。
彼はもういちどキスをしてこようとします。
それには抗えません。抱き返そうとしたその時、あたしは突き放されました。
ソラは飛び離れて、そして壁に向かって思いっきり、もどし始めます。
≪だから飲み過ぎはだめなの≫ やさしく背中をさすってあげました。
ふと、この人が何度あたしを満足させ、腹を満たしてくれるのか、それしか考えていない自分を感じ、恐ろしくなります。
「さあ、中に入ろ」あたしは支えながら、というより、つぶされるようになりながら、離れへ運び入れました。
ベッドに寝かそうとしますが、玄関を入った所で倒れてしまいます。
「ほら、起きて、だらしない」ソラを蹴って起こします。彼は重すぎます。このままでは何もできません。
「ほらいらっしゃい、ベッドまで行ける?」
「水」 青い顔のソラがうなりました。
「はいはい」そう言いながらベッドまで連れて行って靴を脱がせます。 ≪この人はあたしのこと気付いてくれてるの?≫
水を持ってきます。横に座って倒れないように背中に手を回すと口元にコップを当ててあげます。
ソラはあたしの手を包み込むようにコップを持って、一気に飲み干すと、そのまま後ろに倒れ込みました。
あたしも巻き込まれて、腕を下敷きにされベッドに横になってしまいます。
「手が抜けない」
もう返答はありません。ただの大きな岩です。
そのまま横に挟まっていました。添い寝なんていう、いいものではありません。
じっと眠る姿を見ていて、あたしのほうがじれてきます。≪早く抱いて≫
やっとキスしてきました。だと思ったら違います。指で唇に触れてくるのです。
小さくうなって口を開けると、そこへ指が入ってきました。軽く噛みついてやりました。それでも指は抜きません。あたしの舌を指先でさわって遊んでいます。
あたしはその指を吸ってやりました。
ソラはあたしのブラウスを開くと、ブラをずらして、乳首にキスをしました。
ミズチとは違います。力強いのにすごく繊細ですごく優しいのです。
ソラはスカートをたくし上げ、太ももをなでます。
足を開かせると、ストッキングを破り、中に手を入れようとします。それにはちょっとあわてます。≪ワイルド でもこれ高いの≫
高価なストッキングは思ったより丈夫でした。
でもソラは怪力です。次の挑戦でストッキングを破ると、その中に手を入れてきました。
≪もうすぐ食べられる≫
我慢していると子宮がキュンとしてきます。
そこへ指を差し込んできます。かるくもみながら奥へと進んでいきます。
≪ズボンの前を開いて、乗っかってしまおうか≫
今のソラならできそうです。空腹の痛みでおなかを抱えながら、体の下から渾身の力で腕を引き抜きました。
膝立ちして見つめます。≪ソラが欲しい≫
我慢できずに息が漏れてしまいます。≪ソラで満たされたい≫
ソラの胸に手を置くと、目をつぶって、そこに布団をかけます。
外に出て、ドアを閉めました。
≪だめ。あれは先生のベッドだ≫
そう、いくらあたしがスクブスだとしても、いくら怪物になったとしても、あのベッドは先生のものです。それを汚したくはありませんでした。
≪もうおしまい≫ 部屋に戻ります。―――