find out-6
私は家まで走った、思いを振り切るように。
あんな空気のまま引越しなんて切り出せるわけがない、あんな平和で貴重時間、潰せるわけがない。
この思いも潰せるわけない。
引越しするは明日、時間がない、どうすればいいの?
私は走りながら現実を振り切るように全力で走り、家に着いたときは汗が噴出していた。
「あっついなぁ、お風呂入ろー」
ポケットから携帯を出す。
ちょうどその時、「ヴーヴー」とバイブの振動が手に伝わる。
「こんな時間にだれだろ」
開いてみると「絵実」の文字、そして本文には三文字だけ。
「正直に」
私はこの夜、その意味が気になって眠れなった。
大会当日。
素晴らしい天気にも恵まれ絶好のかくれんぼ日和、らしい。
先生が張り切ってそう言っていた。
クラスメートはほとんど集まっていて、来ていないのは織華だけだった。
「どうしたんだろうな織華」
「そうだなー、遅刻なんかしたことないのに、アレだ、また犬追いかけてんだ」
「痛いよー、蓮が痛い」
「えっ、なに俺なんかした?」
蓮弄りも済んだことだし、絵里に聞いてみる事にした。
絵実は一人木陰で空を見上げていた。その光景がすごく絵になりそうで、なんか綺麗だった。
って見とれていてもしかたない、さっさと聞かなければ。
「なぁ、絵実」
絵実は空に向いていた目をゆっくりとこちらに向ける。
「織華どうしたか知らないか?」
絵実はゆっくりと答える。
「寝坊、でももう少しで来る」
「そっか、ありがとう」
絵実は少し頷いてまた視線を空に向ける。
アレだけ無口なもの珍しいな、と思っている矢先、織華が遅刻ぎりぎりに現れた。
「はぁ、はぁ」
肩で息をしている、全力で走ったらしい。
「おはよう、大丈夫か?」
「な、なんとか」
「はーい、皆さんこっち向いてー」
先生が声を張り上げる、そんな大きくなくたって聞こえるってーの。