青年と-1
気まずい雰囲気の中、本来なら年長である私から声をかけるべきだろうに、先に彼が言葉を発した。
「触ってもいいですか」
私は驚いた。そう言う彼の視線の先には、委縮して、いつもよりも小さくなっていそうな私のそれがあったからだ。思えば、夫婦と性的な遊びをしようとする若者なのだ。それも、スタイルの良いイケメンなのだ。その気になれば性の相手として、五十歳の女でいいなら、いくらでも見つかるし、そもそも、女に不自由するようなタイプではないのだ。そうなれば、目的は男。いや、それだって、私は知らないが、そうした店や社交場はいくらでもあるはずだ。
「あ、ああ、かまわないけど、そっちの趣味が」
「え、ああ、違います。ただ、他人のそれを触ったことないんで、すみません、気持ち悪かったですよね」
「いや、少し安心したんだ。思えば、私も男に触られるなんてはじめてだよ」
青年は仰向けに寝直した私の足元に正座するようにして座り、まるで、そこに愛らしいリスでもいるかのような目で見ながら、そっと、両手でそれを包み込んだ。そして、その緊張に、さらに縮んだ私のそれが陰毛の中に隠れきってしまったからなのだろうか、それを中心に陰毛を撫で、少しでもそこが露出するように擦ってくれた。
「ここ、剃ってもいいですか。ボク、剃るの上手なんです。全部じゃなくてもいいんです。きちんと整えさせてくれるだけでも。もちろん、奥さんのも」
「いや、妻のそこは永久脱毛だから」
「素敵ですね。奥さん。オシャレな方だな、と、最初に思いましたが、そんなところまでオシャレなんですね」
そう言いながら、彼は大事そうに、愛しそうに、私の陰毛を撫でていた。彼の陰毛が少ないと私が思ったのは、彼のそれが大きかったからだけではなく、やはり、きちんと、その毛を手入れしていたからなのかもしれない、と、そんなことを思ったら、彼のそれを私も触ってみたい、と、そう思った。しかし、それを言う前に妻がシャワーから出て来てしまった。
自分は私たちに全裸で出て来るようにと言ったのに、妻はタオルどころかガウンを羽織って出て来た。
「まさか下着まで付けているなんてことないよね」
私がガウンのままベッドサイドに歩いて来た妻に尋ねると、妻は少し恥ずかしそうに下を向き「さすがに、それは」と、囁くようにして答えた。