ボクと綾女さん -ある思い出話について-(2023/08/07)-1
今思い起こしてみると・・・、
ボクがお風呂を出て脱衣場で体を拭いている時、
綾女さんもその場にいることが多かった。
「ちゃんと拭いてね。
シャンプーは切れてなかった?」
綾女さんはよくそう言いながらしゃがみ込んで、
足元付近にある戸棚のチェックをしていた。
綾女さんはボクの親戚。
たしか、今35才だと思う。
ボクは小学5年生の時から綾女さんの家に預けられている。
理由は、両親が海外赴任に行ってしまったから。
預けられてすぐはちょっと寂しかった。
でも、綾女さんは一人暮らしだったからか、
ボクが一緒に暮らすことになったのが嬉しかったらしく、
ボクにとても優しくしてくれた。
なので、綾女さんの家での暮らしにはすぐに慣れた。
綾女さんからは、
「名前で呼んでね」と言われているので、
ボクは普段「あやめさん」と呼ぶようにしていた。
で、そういうボクは、今、中学2年生。
名前はトオル。
ついさっき、夏の林間学校から帰ってきたところ。
かなり汗ばんでいたのでシャワーを浴びようと思い、
お風呂場の隣にある脱衣場へやって来たところだった。
ボクは服を脱ぎながら、
綾女さんとのこれまでのことを思い返していた。
* * *