na〜アリサ-3
でもそんな考えをよそに、大学が一年終わっても明の中のななちゃんは大きくなる一方で。
明も決心がやっとついたのか、ついに春休みに地元に帰ったときに自分の気持ちをななちゃんに告げた。
ドキドキして過ごすこと2週間。
無事OKをもらったみたいで。そのことを報告しに来た時の明は本当に、本当に嬉しそうだった。
あたしは明とななちゃんの両方から相談を受けていたんだけど、どちらにも上手くアドバイスが出来ないでいて。
今考えると、あの頃から……もしかしたらずっと前から明に惹かれていたのかもしれない。
明に惹かれている自分をずっと押し込めてきたのかもしれない。
だから明とななちゃんが別れて、すごくすごく悲しかったけど、少しだけチャンスだって思った。
そんな自分が嫌で。あたしは自分にルールを決めた。
―自分からは気持ちを伝えないこと。自分からは何も聞かないこと。
そうすることが、ななちゃんに対してのあたしの罰。
その時まで明の側にいれることが、ズルイあたしの罪。
ねぇ明、いつになったらあたしの気持ちに気づいてくれる?
ぐでんぐでんになった明をタクシーに乗せると、あたしの家へと連れて行く。
ベッドに明を寝かせると、今日もあたしたちの関係に終わりが訪れなかったことにホッとした。
あたしは、大好きな人の寝顔を見つめながら今日も眠りに就く。
「おやすみ、明。」