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人妻ハメ好きの友人
【熟女/人妻 官能小説】

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瀬尾岩之助という男-6

 岩之助が遅れて会議室を出ると、里夢は少しばかり遠くの方に進んでいる。

 怪訝そうな表情でその後を追う形で歩き出す岩之助。里夢の後ろ姿を追っていると、意識しないでも愛人関係の経緯を思い出してしまう。

 双葉里夢とは会社では上司と部下の関係であるが、それが終わって二人っきりの時は愛人関係だ。

 仕事終わりに時間を見つけて会社やラブホテルで交わる。里夢の好みでやけにキツい匂いの香水の時は落とせない対策の為にわざわざ同じ背広やワイシャツを余分に買った。

 望まない愛人関係。これで性行為が苦痛だったなら、他人がどう言おうが岩之助も同情の余地はあるだろう。

 だが、意外にも里夢の体は岩之助と相性が良かった。

 容姿は全てにおいて自分の妻に劣る女。なのに、体の相性は良い。これが岩之助を惨めにさせた。望まない筈の愛人関係が、体の相性が良かったことで多少なりとも正当化されてしまうことに。

 それでも妻との愛を確かめようと、小夏からの頼みもあっていつぞやの日に交わったこともあった。

 その時思ったのは自身の妻は美しいと認識しながらも、結局罪悪感から逃れることが出来なかった。頭の中では里夢の顔ばかりが過ぎった。

 小夏と会話するのが、本当に億劫になったのはそれからだった。

 元から口数自体は少ない方で、家に帰っても積極的に喋る方ではなかった岩之助。仕事人間だの揶揄されたこともあったが、それでも最初の頃は最低限度の会話はしていた。

 だが、里夢との関係が始まると全くという程しなくなった。

 きちんと事情を説明したい、と思ったこともあったがそれは同時に自分の秘密を告げるのと同じだ。そこから芋づる式に志乃野木商事への入社の経緯までバレてしまうのは彼のプライドが許さなかった。

 岩之助は妻への愛情が無くなったワケではない。ただ後ろめたさもあって、以前と違って真っ直ぐに彼女を見れなくなった結果、会話も一切ほとんど出来なくなったのだ。

「小夏‥‥私は一体どうすればいい?」

 呟いた言葉に返す妻の姿はここには居ない。岩之助はため息をついて歩き出す。

 今日に至るまで何度か歩いた筈の廊下だったが、それがとても長いまるで最果てへの道のように思えた。その先を、愛人関係の里夢が歩いていることが岩之助をいっそう辟易とさせた。


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