初彼女-2
そんなに大きなソファではない。萌香との距離は1、2センチか…。下半身に萌香の体温が感じるぐらいに接近している。萌香は心臓がドキドキしていたが、彰の鼓動の方が激しかった。
「あ、ご、ごめんなさい…。急にアパートに行きたいだなんて言い出しちゃって…」
「い、いや、全然…」
「もう少し井上さんとゆっくり話したくて…」
「お、俺ももっと話がしたかった…よ。」
「ホントですか…?」
「う、うん…」
自分の部屋で見る萌香は更に可愛く輝いて見えた。そして大好きな萌香の匂いがまるでシャワーのように降り注ぐようだ。萌香との有り得ない距離にあたまがクラクラしてくる。緊張しすぎて両手を膝に置き背筋を伸ばして固まってしまった。
「あ、ああ…でも…明日のホームページ更新、楽しみだなー…」
沈黙が気まずくなり、無理矢理話題を探して口にする萌香。
「そ、そうだね…。頑張ったもんね…」
「はい…。私、今まで与えられた仕事をするだけでしたけど、でも今回、初めて自分から意欲的に仕事ができて、嬉しかったんです。あー、仕事してるって感じがして、井上さんと仕事をしてからずっと充実感があるって言うか、しごが楽しくて仕方ないんです。」
「俺も今まで1人でばっか仕事してたけど、協力して一つの目標に向かって頑張るっていいなって。」
「足手纏いじゃないですか…?」
「全然!ホント、色んなアイデアが出てやりがいあるよ。できればこれからも一緒に仕事したいなー、なんて…」
「ホントですか!?ありがとうございます。嬉しいです!」
話に共感しあい、思わず正面から顔を向かわせてしまい、またお互い照れて俯いてしまった。
(こ、これはチャンスなんじゃないか!?今告白しないでいつ告白するんだって言う大きなチャンスだよな…。でもフラれたらどうしよう。せっかくいい雰囲気なのに一緒にいずらい雰囲気になったら…。いや、フラれるんな後でも今でも同じだ!い、行くぞ…!)
彰はこの絶好のチャンスを逃してはならないと決め顔を上げて口を開く。が、言葉が出ない。また緊張してしまった。
(ダ、ダメだ!勇気を出せ!今しかないんだ!!)
彰は自分自身を奮い立たせる。
(よし、言うぞ!!)
彰は再び顔を上げたのであった。