堕ちてゆく私-1
男はベッドに着くと私を放り出す様にしてその上に横たわらせた。
羽織ったバスタオルを乱して無様な裸を晒す私を、男は嘲笑う様に見下ろして見つめながら、持ってきたバッグの中から怪しいモノを次々と取り出していった。
その中には身体を縛る為に用意したと思われるロープがあり、男は問答無用で私の身体をそれで拘束していった。
既に絶望に駆られて何もかも諦めかけていた私は、それが本当に意味することが何かも知らずに、僅かに抵抗するのみでベッドに手足を縛り付けられていく。
屈辱に苛まれてどん底にいる私は、もう何をされたってこれ以上堕ちることは無いと、処女を失う事も覚悟して悲しみに暮れていた。
お小遣い欲しさにパパ活をしようなどと安易な発想をしなければ、こんな事にはならなかったと後悔を繰り返し、身体を大の字にさせながらメソメソと泣き続けていた。
しかし男がバックから注射器を取り出して、私は更なる自分の愚かさに絶望する。
この男が私を犯すだけで済ます筈など無く、身体を拘束されるなど絶対に許すべきでは無かったのだ。
「な…何をするの⁈」
男は何も言わずに、何かの薬を溶かし込んだ液体を注射器に注入して笑っている。
悪魔の様なその微笑みに私は背筋にゾッと寒気を走らせて、ガタガタと身体を震わせていた。
ニヤニヤ笑いながらゆっくりと近寄ってくる男は、縛られた私の腕の血管を探して注射器を当てていく。
「やめてぇー!私の身体に変なもの打たないでぇー!」
その叫びも空しく謎の液体は、チクリとした痛みと共に私の身体にゆっくりと流し込まれていった。
「天国を見せてあげるよ…」
男はそう言うと手にしていた注射器を枕元に置いて、絶望に暮れる私の身体に覆いかぶさってくる。
首筋から入念に繰り返される不快なキスに、私は嫌悪感を感じながら最後の抵抗とばかりにクネクネと身を捩っていた。
打たれた薬が真っ当なものではない事だけはわかるが、身体にどんな影響を及ぼすのかは全くわからない。
泣き叫んで拒絶しているが、拘束された手足は硬く結ばれていてロープが緩む気配すらない。
ジワジワと疼き始めている身体に戸惑いながら、私は首筋から流れてくる男の絶妙な舌使いに少しづつ呼吸を荒げていった。
薬のせいなのか今の私の身体はとても敏感で、唾液を纏ったニュルニュルとした感触が、擽ったさを通り越してダイレクトに快感を感じさせている。
他人の舌が身体を這う感触を体験するのは初めての事で、その滑らかで優しい力遣いに、込み上げてくる切なさを抑える事はできなかった。
ゆっくりと移動していく愛情のこもった舌先が、これまでの屈辱を忘れさせてくれるかの様に、身体を火照らせて温かさに包んでいく。
舌先が胸の膨らみの頂点に到達した時、私は悩ましい声を上げながら、その快感に激しく悶えていた。